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過労死ラインは何時間? 長時間残業をしている方が知るべきこと

2023年07月31日
  • 労働問題全般
  • 過労死ライン
過労死ラインは何時間? 長時間残業をしている方が知るべきこと

埼玉労働局が公表する「令和3年度個別労働紛争解決制度の施行状況(埼玉労働局)」 によると、令和3年度中に埼玉労働局の総合労働相談コーナーに寄せられた相談54552件のうち、労働基準法などに違反している疑いがあるものは15.1%を占めていました。

労働関連法令では、年々労働者の保護を強める方向で規制が強化されています。しかし、全国的に会社による労働基準関連法令違反の事例はあとを絶ちません。そのなかには違法な長時間残業があり、それによって命を落とす労働者もあとを絶たないのです。

そこで本コラムでは、過労死ラインの基本的な知識と過労死ラインを超過しても労働しなければならない現状への対策について、ベリーベスト法律事務所 大宮オフィスの弁護士が解説します。

1、過労死ラインとは

いわゆる「過労死ライン」とは、労働災害の認定にあたり、過重負荷の有無を判断する上で評価の目安となる労働時間をいいます。

長時間労働は、労働環境にまつわる問題のひとつです。特に近年は、正社員とパートタイマーや契約社員というような非正規社員の間で労働時間の二極化が進み、正社員の労働時間が長時間化しているという現実があります。

労働時間が長くなる弊害は以下のとおりです。

  • 睡眠時間が減少する
  • 長い労働時間により長い時間ストレスにさらされる
  • 長時間にわたる労働は疲労の蓄積をもたらす
  • 最悪の場合は過労死や過労自殺へ至る


これらの状況を勘案して、過労死ラインが設けられたものと思われます。過労死ラインは、①発症前1か月間におおむね100時間を超える時間外・休日労働または②発症前2か月間ないし6か月間にわたって1か月あたりおおむね80時間を超える時間外・休日労働です。また、月45時間を超えて長くなるほど関連性は強まると考えられています。これに加え、令和3年9月14日以降は、労働時間と労働時間以外の付加要因を総合評価する、短期間で合っても荷重業務や異常な出来事があったケースなどを認定基準に追加するなど、最新の医学的知見を踏まえた改正が重ねられているのです。

2、過労死の定義

  1. (1)過労死とは?

    過労死とは、業務上の理由による脳血管疾患や虚血性心臓疾患を原因とする死亡や、仕事による強いストレスなどを原因として発病してしまった精神障害による自殺のことをいいます。

    平成26年11月に施行された過労死等防止対策推進法第2条によりますと、過労死等とは以下のように定義されています。

    • 業務における過重な負荷による脳血管疾患もしくは心臓疾患による死亡
    • 業務における強い心理的負荷による精神障害を原因とする自殺による死亡
    • 死亡には至らないが、これらの脳血管疾患もしくは心臓疾患もしくは精神障害


    厚生労働省では「令和4年版過労死等防止対策白書」内で、脳・心臓疾患を発症したとして労災認定された事例の時間外労働時間別の状況を公表しています。令和3年度では、「評価期間1か月」では100時間以上から120時間未満で認定されたケースがもっとも多く、「評価期間2~6か月における1か月平均」では、「80時間以上~100時間未満」がもっとも多いという結果になっています。これらの時間は過労死ラインの規定とおおむね一致しているといえるでしょう。

  2. (2)過重労働による健康障害

    脳血管疾患や心臓疾患は、血管病変などが長い年月の間で形成・進行・悪化し、発症します。しかし、業務による明らかな過重負荷が加わった場合、血管病変などが自然経過を超えて著しく悪化し、脳血管疾患や心臓疾患を発症することがあります。また、業務による強いストレスが、うつ病をはじめとする精神障害を発症させることがあります。

    厚生労働省は、業務により明らかな過重負荷を受けたことにより発症した脳血管疾患・心臓疾患や、業務による強いストレスにより発病した精神障害を、業務上疾病として労災認定するための基準を示しています。

    これにより、労働者またはその遺族が労災請求を行い、業務上の疾病として認定された脳血管疾患・心臓疾患や精神障害に対しては、労災保険による補償がなされます。

  3. (3)脳血管疾患・心臓疾患の認定基準

    脳血管疾患・心臓疾患の認定基準は、その発症に影響を及ぼす業務による明らかな過重負荷があったか否かの判断基準として、「異常な出来事」、「短期間の過重業務」、「長期間の過重業務」の3つがあります。

    「異常な出来事」とは、労働者が発症直前から前日までの間に生じた、仕事による強度の精神的・身体的負荷をもたらす突発的で予測困難な異常事態や、急激かつ著しい作業環境の変化があったことです。

    「短期間の過重業務」とは、労働者が発症前のおおむね1週間以内に、日常業務に比べて特に過重な身体的・精神的負荷を生じさせる業務に就労したことをいいます。

    「長期間の過重業務」とは、労働者が発症前のおおむね6か月以内に、著しい疲労の蓄積をもたらす特に過重な業務に就労したことをいいます。

    なお、労働者が短期間または長期間の過重労働業務に就いたか否かの最終的な判断は、労働時間だけでなく、その他の勤務形態、作業環境および精神的な緊張など、労働時間以外の負荷要因が総合的に判断されます。

  4. (4)心理的負荷による精神障害の認定基準

    心理的負荷による精神障害の認定基準とは、発病した精神障害を業務上の疾病として認められるか否かに関する基準をいいます。

    認定されるための基準には、以下の3つがあります。

    • 認定基準で対象とする精神障害(対象疾病)を発病していること
    • 対象疾病の発病前おおむね6か月の間に、業務による強い心理的負荷が認められること
    • 業務以外の心理的負荷および個体的要因により、対象疾病を発症したとは認められないこと


    長時間労働に従事することも、精神障害が発病する原因となり得ます。したがって、上記認定基準のうち、「業務による強い心理的負荷」の認定については、一定の基準に基づいて、精神障害の発病前における長時間労働の状況も考慮されます。

3、36協定と過労死ライン

労働基準法第32条の規定により、労働時間は原則として、1日あたり8時間、1週間あたり40時間を超えてはならないとされています。これを「法定労働時間」といいます。

しかし、正社員を雇用する会社で、残業そのものが全くないという会社は珍しいかもしれません。この点、会社と労働組合、または労働者の代表との間で労働基準法第36条に基づいた残業に関する協定(いわゆる36協定)が締結され、所轄の労働基準監督署に提出されていれば、その範囲内の時間外労働については労働基準法違反ではなくなるという効果(免罰的効力)が発生します。

ただし、36協定を締結しているからといって、会社は無制限に労働者を働かせることができるわけではありません。時間外労働の上限は、1か月あたり45時間、1年あたり360時間です。

もっとも、臨時的に上記限度時間を超えて時間外労働を行わなければならない特別の事情が予想される場合には、厳しい要件の下、さらに上記限度時間を超えて時間外労働をさせることのできる「特別条項」を36協定で規定することによって、以下を上限とした労働時間が認められることになります。

  • 時間外労働が年720時間以内
  • 時間外労働と休日労働の合計が月100時間未満
  • 時間外労働と休日労働の合計について、「2か月平均」「3か月平均」「4か月平均」「5か月平均」「6か月平均」がすべて1月あたり80時間以内
  • 時間外労働が月45時間を超えることができるのは年6か月が限度


上記のうち、月100時間を基準として設定していたり、平均1月あたり80時間を基準として設定していたりしている点が、おおむね過労死ラインと一致しています。これは、特別条項と過労死ラインが、それぞれ基準を設けるにあたり、時間外・休日労働時間と健康被害リスクを勘案している点で共通しているためであると考えられるでしょう。

なお、36協定に特別条項がなかったとしても、この上限は適用されます。たとえば時間外労働が40時間だったとしても休日労働が61時間以上になると労働時間の合計は100時間を超えるため、法令違反となります。

つまり、特別条項の有無にかかわらず、会社には以下が義務付けられているのです。

  • 1年間を通して時間外労働と休日労働の合計を1か月で100時間未満に抑えること
  • 2か月から6か月の平均ですべて1か月あたり80時間以内に抑えること

4、長時間残業にお悩みの方は弁護士へ

これまで、長時間労働と過労死に関する相関性を解説しました。あなたが置かれている労働環境の現状が以下に該当する場合は、弁護士に相談することをおすすめします。

  • 過労死ラインに抵触している、あるいはしかねないにもかかわらず適切な残業代が支払われていない
  • 個人の労働環境の改善を望みたい
  • 未払いの残業代を支払ってほしい


労働問題の解決に実績と経験のある弁護士であれば、長時間残業などあなたの置かれた状況を冷静に分析することが可能です。たとえば、会社に対して未払い残業代の支払いを請求するだけでなく、その是正を求め、働きかけることができます。場合によっては、会社の強いる長時間残業などの違法行為に対して、あなたの代理人として損害賠償を請求することができます。

長時間残業で疲弊したあなたの代わりとして、弁護士はあなたが受けるべき権利を請求することができるのです。

5、まとめ

厚生労働省による「令和4年版過労死等防止対策白書」によりますと、令和3年度における「脳・心臓疾患にかかる労災支給決定(認定)件数」は172件、うち死亡件数は57件でした。他方で、「精神障害に係る労災支給決定(認定)件数」は629件、このうち未遂を含む自殺は79件でした。

あなた自身が過労死の認定を受ける対象とならないためには、あなたが置かれている現状の理解とそれに対する自らの対策が不可欠です。ベリーベスト法律事務所 大宮オフィスでは、過労死ラインについてはもちろん未払い残業代請求についてのご相談を承っております。ぜひお気軽にご連絡ください。あなたのために、ベストを尽くします。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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