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暦年贈与の注意点とは? 相続対策にならない可能性を弁護士が解説

2020年10月14日
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暦年贈与の注意点とは? 相続対策にならない可能性を弁護士が解説

平成29年、さいたま市では1万451人の方が亡くなっており、死亡率は人口1000人に対し8.2でした。この数字が意味するところは、相続財産の多寡に関係なく、これだけの相続が発生しているということです。

人は、誰でも自分の死後のことについて考えることがあります。そのときに思い浮かぶことのひとつは、「自分の財産をどうするか」ということ、つまり相続のことでしょう。円満な相続のために遺言を作成しておくなど、生前にできることはいろいろとあります。そのうち、相続発生後に相続税の負担を少しでも減らすために、相続税対策があります。

相続税対策として多く活用されている方法が「暦年贈与」です。ただし、その活用方法を誤ると相続税対策にならないばかりか、相続発生後に相続人がトラブルに巻き込まれる原因にもなり得るので注意が必要です。

そこで本コラムでは、暦年贈与の概要と活用する際の注意点について、ベリーベスト法律事務所 大宮オフィスの弁護士が解説します。

1、暦年贈与とは

  1. (1)生前贈与とは?

    生前贈与とは、保有している財産を生前に次の世代に無償で譲ることです。生前贈与は、有効な相続税対策のひとつとして多く用いられています。なぜなら、相続税は被相続人(亡くなった人のこと)が死亡した時点の相続財産の額に比例して高くなるためです。

    すなわち、相続が発生する前に、財産を子どもや孫に贈与しておくことで、自身の財産を減らしておくことにより、その分相続人が負担しなければならない相続税を抑えることができるのです。

  2. (2)暦年贈与とは?

    暦年贈与とは、相続税対策における生前贈与のひとつです。

    贈与契約とは、当事者の一方が無償で金銭などの財産を譲り渡し、相手方がこれをもらい受けることですが、財産をもらい受けた人(受贈者)は、贈与を受けた年の翌年3月15日までに、贈与税の申告・納付を行わなければなりません。贈与税額は、以下の式で計算されます。

    ●贈与税額 =(課税価格-110万円)×税率-控除額


    上記の式からわかることは、1年間の受贈額が基礎控除の110万円に満たなければ、贈与税が課税されないということです。

    課税価格は1年間に贈与を受けた財産の合計額とされていますが、一方で110万円の基礎控除が認められています。この暦年贈与制度を使い毎年コツコツと贈与を行っておけば、年数によってはかなりの節税効果が期待できるのです。

    また、暦年贈与は、血縁関係がない第三者に対しても活用できるという特徴があります。

  3. (3)暦年贈与には贈与契約が必要?

    贈与契約の要件を満たすためには、対価が存在しないことはもちろんのこと、贈与者の「財産を無償で譲ります」、受贈者の「財産をもらい受けます」というそれぞれの意思表示が必要となります。

    そのため、暦年贈与を行う際は、後々のトラブルを避けるためにも、贈与契約書を作成しておくことをおすすめします。さらに、贈与契約書には公証人の確定日付を付しておくことが望ましいでしょう。

2、暦年贈与に該当し得ない行為とは

  1. (1)定期贈与

    たとえば、「毎年110万円を今後10年間にわたって贈与する」という内容の贈与契約を締結したとします。この場合、定期贈与として、最初から1100万円を贈与する意思が贈与者にあったとみなされ、1100万円に対して贈与税が課される可能性が高くなります。

    税務署から定期贈与であるとの指摘を受けないためには、毎年贈与契約を締結し、基礎控除額110万円の範囲内で、贈与額を毎年同額にしないことをおすすめします。

  2. (2)名義預金

    贈与契約がない状態で、一方的に子ども・孫名義の預金口座にお金を振り込み続けると、それが基礎控除額110万円の範囲内に毎年収まっていたとしても、相続が発生した際、税務署から「名義預金」であるとの指摘を受ける可能性が高くなります。

    名義預金とは、実質的には被相続人の預金のことです。税務署から名義預金であるとの判断がなされた場合、この相続人名義の預金は暦年贈与による受贈資産ではなく、被相続人の相続財産とされます。その結果、新たに相続税が発生するだけではなく、過少申告加算税などが課税される可能性もあるのです。

  3. (3)相続開始3年前の贈与

    原則として推定相続人が被相続人から相続開始前の3年以内に受けていた贈与は、年間110万円以内の贈与であっても、相続税の対象となります。贈与税が発生していたか否かについては、関係がありません。

    これは、近いうちに相続が発生しそうな状況のなかで、暦年贈与による生前贈与を行い、相続税の課税を逃れることを防ぐためといわれています。なお、二重課税を回避するために、相続開始前の3年以内に受けていた贈与について課された支払い済みの贈与税額は、相続税の計算において控除することができます。

3、暦年課税制度と相続時精算課税制度との違い

相続時精算課税制度とは、贈与税の課税方式のひとつです。
この制度は、60歳以上の親または祖父母が、生前に20歳以上の子どもや孫へ財産を贈与したときに、総額2500万円までの贈与税を非課税(2500万円を超えた部分には、20%の贈与税が課税)とする制度です。
相続時精算課税制度は、暦年課税制度と異なり、贈与税の非課税枠が2500万円と大きいため、金銭だけではなく不動産、企業のオーナーが自社株式を移転するなど、多額の贈与が生じる場合に多く活用されているようです。

ただし、相続時精算課税制度はその名のとおり、贈与時に非課税とされた贈与税を相続が発生したときに精算しなければなりません。受贈者は、相続税の申告時に相続時精算課税制度の適用を受けた贈与について、贈与時の価額を相続財産に加算して相続税の計算を行う必要があります。

つまり、相続時精算課税制度の適用を受けていても、相続発生時には、贈与時は非課税となっていた財産に対しても、相続税が課税されてしまうのです。また、相続税の計算は贈与時の価額を適用するため、不動産や株式など贈与を受けた資産の時価が相続発生時に贈与時よりも値下がりしていた場合は、かえって多額の相続税を支払う結果となってしまいます。さらに、相続時精算課税制度の適用を一度選択すると、以後は暦年課税に切り替えることもできません。したがって、相続時精算課税制度の適用を受けることについては、慎重な判断が必要です。

暦年課税制度と相続時精算課税制度の違いをまとめると、以下のとおりです。

●贈与税の非課税枠(控除額)
暦年贈与:年間110万円
相続時精算課税制度:贈与財産の合計2500万円

●非課税枠(控除額)超過後の贈与税率
暦年贈与:10%から55%
相続時精算課税制度:一律20%

●贈与者の要件
暦年贈与:なし
相続時精算課税制度:60歳以上の父母または祖父母(贈与する年の1月1日時点)

●受贈者の要件
暦年贈与:なし
相続時精算課税制度:20歳以上の子どもまたは孫(贈与する年の1月1日時点)

●届け出の必要性
暦年贈与:必要なし
相続時精算課税制度:相続時精算課税選択届出書の提出が必要

●相続税課税対象の相続財産への加算
暦年贈与:相続発生前3年以内の贈与について相続財産に加算
相続時精算課税制度:相続時精算課税制度で贈与を受けたすべての贈与について相続財産に加算

4、遺産分割時に起こりうるトラブル

暦年贈与などの生前贈与があったときに、相続発生後の遺産分割協議(遺産の分け方について相続人全員で協議すること)の場でトラブルの原因となりやすいのが、「特別受益」です。

特別受益とは、被相続人から生前に受けた贈与などのように、ある相続人が他の相続人と比べて受けていた特別な利益を指します。

特別受益は、他の相続人との公平性を確保する観点から、遺産分割の前受け分として考えられます。すなわち、遺産分割をするにあたり、特別受益を受けていた人は、その分遺産の取り分を少なくするべきだという考え方なのです。これを特別受益の「持ち戻し」といいます。特別受益を持ち戻しとすべきかどうかについて、相続人間でもめやすいのです。

また、民法上、特別受益は、遺留分(相続人が最低限うけとりできると民法で定められている遺産の取り分)の算定においても考慮するものとされています。このように、遺留分の計算上も、暦年贈与が特別受益に該当しないかが重要となるのです。

したがって、相続発生後に暦年贈与に関する相続人間のトラブルを避けるためには、生前から相続人すべてに平等に暦年贈与を行っておくことも一案です。

5、まとめ

暦年贈与にかぎらず、誤った相続対策は、相続発生後のトラブルなど相続人の負担を増やす結果になる可能性があります。生前の相続対策は法的な知見が必要です。したがって、暦年贈与などの相続対策を検討するときは、弁護士や税理士に依頼することをおすすめします。

相続全般について知見のある弁護士に依頼すれば、円満な相続を実現するためのアドバイスはもちろんのこと、遺言書の作成のサポート、さらには相続が発生したあとの遺言執行者(遺言の内容を実現する人)の役割を任せることができます

また、ベリーベスト法律事務所はグループ内に税理士法人も擁しており、ワンストップで相続対策を検討することができます。暦年贈与など相続対策をご検討のときは、ぜひベリーベスト法律事務所 大宮オフィスの弁護士までご相談ください。あなたの相続対策のために、ベストを尽くします。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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