借金が返済できずに困っている方が、弁護士に相談すべき4つの理由

債務整理の種類は、主に「任意整理」「個人再生」「過払金請求」「自己破産」の4つに分けられます。それぞれどのような方法なのかを詳しく解説します。

1. （1）任意整理

   任意整理とは、裁判所を通さずに借りた人と貸した側（金融機関など）が話し合い、月々の返済金額の減額や総返済額の圧縮、利息の軽減を図るものです。貸した側としては、借金の返済を全額免除される自己破産をされるよりは、元本だけ、もしくは一部だけでも回収できればよいと考え、交渉に応じる可能性があります。
   
   ただ、任意整理という名の通り、この手続きは「任意」で行われるものです。貸した側が減額や利息のカットなどに応じる義務はありません。したがって、必ず借金が減るとは限らないのが難点ともいえます。それでも、弁護士に依頼することで成功確率は高くなるでしょう。また、借金をゼロにするわけではないので、ある程度の定期収入がなければ交渉自体ができません。
   
   なお、弁護士に任意整理を依頼している間は借金の取り立てがストップするだけでなく、返済する必要がなくなります。一時的ではありますが、その間に、生活を立て直すことができるでしょう。さらに、任意整理によって残債の圧縮に成功すれば、無理なく借金を返済できるようになるはずです。任意整理は裁判所などを通さないため、誰にも知られずに手続きを進めることができるのもメリットの一つです。

2. （2）個人再生

   個人再生とは、裁判所を通して債務額を圧縮してもらう手続きです。自身の収入に合わせて再生計画を作って裁判所に提出し、認められれば借金が概ね5分の1程度に圧縮されます（具体的には債務総額によって変わります。）。
   
   減額された借金は原則として3年（例外的に5年）で返済していくことになります。個人再生は借金が5000万円以下で、今後も継続的に安定収入を得られる方が申し立てることが可能です。無職の方は、後述する自己破産手続きを検討することになります。
   
   個人再生は、居住用の住宅を処分する必要がありませんので、マイホームを所有している方でも手放すことなく債務整理ができる可能性があります。個人再生は専門的知識を要する上、裁判所に申し立てる必要があるので弁護士に依頼する方がほとんどです。なお、裁判所を通じて行われる手続きであるため、その結果は官報に掲載されます。

3. （3）過払金請求

   過払金請求とは、過去にいわゆるグレーゾーン金利（適法か違法かの判断がグレーであった金利帯のこと）で借金をしていた方が、返済に際し支払い過ぎた利息の返還を請求する手続きです。
   
   現在も借金の残高がある人でも、場合によっては、過去の過払い金だけで借金を完済できるだけでなく、過払い金が手元に返ってくる可能性があります。過払い金請求の時効は、原則として完済時から10年です。したがって、10年以内に借金を完済した方、10年以上前からずっと借金を続けている方は、過払金を請求できる可能性があります。

4. （4）自己破産

   自己破産とは、裁判所に「破産申立書」を提出して、免責許可決定を受けることができた場合に、借金がゼロになる手続きです。自己破産をすると、借金がすべてなくなりますので、心機一転、一から人生をやり直すことができます。個人再生や任意整理とは異なり、安定した収入がなくても、申し立てることができます。
   
   ただし、自己破産をした場合は、基本的に住宅や車など一切の財産を手放さなければなりません。官報に氏名が記載されるというデメリットがあることは個人再生と同様です。

債務整理を検討するとき、「司法書士」に依頼すべきか「弁護士」に依頼すべきか悩む方が少なくありません。そこで、両者の違いについて解説したいと思います。

1. （1）任意整理の場合

   任意整理を依頼する場合、弁護士と司法書士ができることで、もっとも大きな違いは「140万円の壁」にあります。司法書士も、弁護士と同様に金融機関と交渉することができますが、司法書士は借金の残高が140万円を超える場合は交渉をすることができません。

2. （2）個人再生や自己破産の場合

   司法書士は、個人再生や自己破産の「代理人」になることができません。必要な書類の作成代行は行えますが、代理人として申立てることができないので、手続きは全て自分でしなければなりません。また、個人再生や自己破産の場合は、裁判官による面接が行われることがありますが、司法書士は同席することができません。
   
   つまり、司法書士に依頼した場合は、書類の作成以外はすべて自分で手続きを行わなければなりません。他方、弁護士であれば、書類作成から各種手続きまですべて対応できますし、債務者の代理人として、裁判官との面接に同席することも可能です。
   
   以上のとおり、司法書士もある程度の手続きはできるものの、さまざまな制約を受けることになります。個人再生や自己破産の手続きは非常に煩雑ですので、全て一任したいのであれば、弁護士に依頼した方が良いでしょう。

借金問題・債務整理を弁護士に依頼する理由とメリットを確認してみましょう。

1. （1）煩わしい手続きを一任できる

   債務整理を自分で行う場合は、必要種類の作成から業者との交渉、裁判所への申立てまですべて自分一人でこなさなければなりません。面倒な上時間もかかります。
   
   しかし、債務整理を弁護士に依頼すれば、書類作成・交渉・申立てなど、手続き全般をすべて任せることができます。弁護士に一任すれば、煩雑な手続きに振り回されることも、難しい専門知識を覚える必要もないのです。

2. （2）督促や取り立てがストップする

   弁護士に対応を依頼すると、業者からの督促や取り立てがストップします。弁護士に依頼して弁護士側から業者側に「受任通知」が送られると、業者側は本人に対して、書面、電話や訪問などで督促することができなくなります。弁護士に依頼するだけで、激しい督促への対応や毎月の返済日に頭を悩ませる日々から解放されるのです。

3. （3）家族に内緒にできる

   業者からの督促は、家族に借金がばれてしまう大きな原因となり得ます。手紙や文書などによる督促が続くと、匿名であっても家族は怪しむものです。
   もっとも、債務整理を弁護士に依頼すれば、少なくともその段階で業者との対応窓口は弁護士となるので、自宅や職場への訪問や電話は一切なくなります。さらに、事前に相談することで、法律事務所からの郵送物等も事務所名を伏せて送ってもらうこともできるでしょう。

4. （4）借金額を大幅に減らせる可能性がある

   任意整理においては、業者との話し合いでどれだけの条件で和解できるかがポイントになります。当然、「交渉力」がなければ借金額の大幅な減額は望めないでしょう。そもそも、お金を借りている側が貸している側の業者と、公平な立場で交渉することは非常に難しいとも言えます。
   
   また、弁護士に依頼することによって、単に借金を減額するだけでなく、利息のカットや、前述した過払金返還請求などが可能になることもあるのです。

債務整理すべき状態としては、以下のようなケースが挙げられます。自力で借金問題を解決するためには、収入を上げる以外にありません。しかし、収入を上げることは非常に困難であり、一朝一夕でなしえるものではありません。

したがって、以下のケースに該当する場合は、なるべく早く債務整理を検討することをおすすめします。

●事業の失敗
経営不振に陥って消費者金融や商工ローンに頼ってしまい、返済が困難になった場合。

●株式やFXでの損失
株式やFXに投資したものの、大幅な損失によって多額の債務を抱えてしまった場合。

●買い物などで失敗
買い物依存症、クレジット浪費癖などでお金がなくなり、消費者金融から借金をしてしまって返済が困難になった場合。

●家賃滞納
経済的に困窮し、家賃が払えなくなった場合。

●病気や事故
思わぬ病気や事故によって出費が重なってしまった、または大きな借金ができてしまった場合。

●車や住宅のローン
車の高額なローン、住宅の長期ローンが支払えなくなった、月々の住宅ローンが支払えなくなった場合。

●保証人になってしまった
誰かの保証人になってしまい、賃金業者から容赦のない取り立てを受けて困っている場合。

借金問題は放置していても解決しません。返済が滞れば厳しい督促が行われますし、財産や給与などの差し押さえの危険もあります。それでも法律には救済措置があります。法律に則って債務整理をすることで、心機一転、生活をリセットしましょう。

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