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シェアハウスを運営する上で必要な法律はある? トラブル回避対処法

2021年02月25日
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シェアハウスを運営する上で必要な法律はある? トラブル回避対処法

さいたま市内でもシェアハウス物件が増えつつあるようです。比較的大きな一軒家を所有している人が不動産賃貸業をしようと思った場合、ひとつの選択肢として「シェアハウス」を検討することがあるでしょう。

大家側からしても、シェアハウスは、ひとりに貸すよりも、複数から賃料を得られるので収益率が高いこと、空室率が低いことなどのメリットがあります。他方、共用部分の使用について入居者同士でトラブルが発生するなどの問題も生じやすいという懸念はぬぐえません。

そこで、シェアハウスに関する法律はどのようなものがあり、トラブルを回避するためにはどのような方法があるかについて、ベリーベスト法律事務所 大宮オフィスの弁護士が解説していきます。

1、シェアハウス運営に関係する法律とは

シェアハウス運営を行う場合に関係する法律としては、主に次の3つが挙げられます。

① 建築基準法
建築基準法とは、簡単にいうと土地や建物に関する基準を定めた法律です。安全で健康に生活できるようにするためには、耐火基準や安全基準などをクリアする必要があります。強い風が吹いたら簡単に倒壊するような建物では生命に危険が及ぶからです。

新築のときはもちろん、用途を変更する場合にも、一定の基準を満たす必要があります。シェアハウスの場合も用途変更に該当する場合には基準を満たす必要があります

② 民法
民法とは、私人間の権利義務に関する法律です。特別法(特定の目的のために制定された法律)に規定がない一般的な賃貸借契約などの契約関係について規定しています

また、トラブルが発生した場合について問題になる不法行為責任についても規定しています。

③ 借地借家法
借地借家法とは、建物の所有を目的とする地上権および土地の賃借権の存続期間、効力等ならびに建物の賃貸借契約の更新、効力等に関し特別の定めをするとともに、借地条件の変更等の裁判手続きに関し必要な事項を定めています

シェアハウスの場合、大家(賃貸人)と住民となろうとする人(賃借人)との間で、定期建物賃貸借という契約を締結することが多いのですが、この契約についても借地借家法が規定しています。

2、シェアハウス事業を始めるために必要な法対応

それでは、シェアハウス事業を始めるためには、どのような対応が必要なのでしょうか。

  1. (1)建築基準法

    建築基準法では、シェアハウスは「寄宿舎」とされており、200平方メートルを超える家をシェアハウスとして活用する場合には、寄宿舎への用途変更の確認申請が必要になります

    建築基準法に適合させることはもちろん、消防法等の関係法令への対応も欠かせません。したがって、建築士、地方公共団体、管轄の消防署などに相談しながら進めていくことになります。200平方メートル以下の場合は、用途変更の確認申請は不要ですが、建築基準法の寄宿舎としての基準に適合させることや消防法への対応は必要なことに変わりはありません。

  2. (2)民法

    大家(賃貸人)と住人となろうとする人(賃借人)との間で契約が必要になりますが、契約の内容は原則として民法の規定に従うことになります。契約書の作成自体は法律上の要件ではありませんが、後日トラブルになった場合に契約書がないと「言った、言わない」の議論になってしまうので、契約書は必ず作りましょう。

    建物賃貸借契約では、敷金を入れるのが一般的だと思いますが、民法改正により「敷金」が定義されました。それによると、賃料債務その他の賃貸借に基づいて生ずる賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務を担保する目的で交付した金銭は、名目にかかわらず「敷金」とされます

    また、敷金の返還時期及び額は、賃貸借が終了し、かつ賃貸物件の返還を受けたときに、賃借人の賃貸借に基づいて生じた務を控除した残額を返還するものとされます。この点について理解した上で敷金を受け取る必要があります。

    なお、原状回復義務については、民法改正により明文化されています。具体的には以下の通りです。

    民法第621条(賃借人の原状回復義務)
    賃借人は、賃借物を受け取った後にこれに生じた損傷(通常の使用および収益によって生じた賃借物の損耗ならびに賃借物の経年変化を除く。以下この条において同じ。)がある場合において、賃貸借が終了したときは、その損傷を原状に復する義務を負う。ただし、その損傷が賃借人の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない。


    条文の通り、賃借人に故意・過失がない損傷については原状回復義務を負わせることはできません。これと異なる特約を大家(賃貸人)と住民となろうとする人(賃借人)との間で結んだ場合も、その効力をめぐって争われることがありますので注意が必要です。

  3. (3)借地借家法

    シェアハウスの契約形態としては、民法に基づく「普通建物賃貸借契約」と借地借家法に基づく「定期建物賃貸借契約」の二つがあります。

    普通建物賃貸借契約というのは、契約期間の定めはあっても、貸主は正当事由がない限り更新を拒絶できない契約です。定期建物賃貸借契約とは、たとえば「2年に限って賃貸借する」というように2年間で賃貸借が終了し更新がない契約です(ただし、貸主と借主が合意すれば、再契約は可能)。

    一般的にシェアハウスでは、長期間居住する人が多くないのと、トラブルを起こす人がいる場合、退去してもらう必要性があることから、定期建物賃貸借契約が利用されています。

    定期建物賃貸借契約を締結するときは、公正証書等の書面によることが必要です。公正証書は例示なので、書面であれば公正証書である必要はありませんが、公正証書にしておいた方がよいでしょう。

    また、定期建物賃貸借契約をしようとするときは、大家(賃貸人)は、あらかじめ、住民となろうとする人(賃借人)に対し、定期建物賃貸借契約では契約が更新されず期間の満了により賃貸借が終了する旨を記載した書面を交付して説明しなければならないとされています。

    賃貸人がこの義務を怠った場合には、たとえ契約書に更新をしないと定めていても、その特約部分は無効とされるので、普通建物賃貸借契約と扱われることになります

3、入居者との契約時に気を付けること

シェアハウスの場合、同じ建物に複数の人が居住することになるので、一般的な賃貸借契約とは異なる注意事項があります。契約時にはシェアハウス独特のルールについて説明し、納得した上で入居してもらう必要があります。

入居者同士でお互いがきもちよく利用してもらうためにも、ルールは守ってもらうことが重要です。また、ルールを守るつもりがない人は、入居者同士でトラブルになる可能性が高いことから、入居させない方がよいでしょう。

  1. (1)共用部分の利用に関するルール

    シェアハウスでは、キッチン、トイレ、お風呂、リビングなどが共用の場合が多いと思います。共用部分の利用方法についてしっかりと説明しておく必要があります

    具体的には、以下のようなルールが代表的です。

    • 共用部分に私物は置かないこと
    • エアコンや電灯など利用後はオフにすること
    • 冷蔵庫を使用する場合は名前を書くこと
    • 入浴時間は決められた時間内に済ませること など
  2. (2)入居者同士の関係についてのルール

    共用部分については共同生活をすることになることから、入居者間のルールを定める必要があります

    例えば、以下のようなルールを作成するケースが多いようです。

    • 個室内はプライベート空間であることから許可なく入らないこと
    • 共用部分の掃除やゴミ捨てについては当番制とすること
    • 友人を入れる場合には他の入居者に許諾を得ること
    • 個室も含めて喫煙に関するルールに従うこと
    • 騒音に配慮すること など

4、トラブルを回避するための対応方法

シェアハウスを運営する上では、普通の賃貸物件と同様、家賃滞納や賃借人が行方不明になるなどの問題が発生することがあります。また、シェアハウス独自の問題としては、入居者同士のトラブルが考えられるでしょう。

このような場合、どのように対応するのかを大家(賃貸人)がたったひとりで考え対応することは非常に大変なことです。法律的な対応が必要となるケースは少なくありません。そのため、弁護士と顧問契約を結び、いつでも相談できる状況をあらかじめ作っておくことはひとつの方法です。

契約違反、面倒な滞納家賃の回収、トラブルを起こす入居者への注意なども弁護士に依頼することが可能です。裁判を視野に入れた交渉の際は、あなたの代理人として対応することができます。わずらわしいことに時間をかけることなく、経営に専念することができるでしょう

5、まとめ

今回は、若者や起業家などに人気のあるシェアハウスを経営する上で必要となる法律について解説しました。賃貸住宅の経営にはトラブルはつきものです。特にシェアハウスは賃借人が多くなる分、トラブル発生のリスクも多くなりがちです。

オーナーひとりで対応するのは大変ですので、安心して経営するためには、顧問弁護士サービスなどを利用することをおすすめします。ベリーベスト法律事務所 大宮オフィスでは、民事事件について経験豊富な弁護士が在籍しており多様な顧問弁護士サービスも提供しております。シェアハウスの経営について不安があるという場合には、お気軽にご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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