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新型コロナで多くの課題が浮上! 企業に求められる危機管理対策とは?

2020年09月30日
  • 労働問題
  • 企業
  • 危機管理
新型コロナで多くの課題が浮上! 企業に求められる危機管理対策とは?

日本は災害大国のため、地震や台風などに対する危機管理はある程度行われているケースが多いものです。たとえばさいたま市でも「さいたま市危機管理指針」が公表されているように、災害に備えている現状があります。

しかし、市区町村はもちろん、企業においても、ウイルスの大流行による危機管理はほとんどなされていないのが現状です。新型コロナウイルスによる脅威が、今後、第2波、第3波が来ることが予想される中で、社内で社員が感染した場合、感染者が出たことを公表しなければならないのか、また、大地震が起きた場合に事業継続をどのようにすべきなのかなど、どのような危機管理をすべきなのか不安という企業も多いと思います。

そこで、今回は、企業における危機管理のあり方、また、その運用方法について、大宮オフィスの弁護士が解説します。

1、企業における危機管理とは?

危機管理の定義については、さまざまな捉え方があり、一義的ではありません。たとえば、「リスク管理」は将来発生する可能性のあるリスクに対する対応を考え、「危機管理」をすでに生じてしまったトラブルについて、責任者が適切な対応をとることとする見解もあります。

しかし、本コラムにおける「危機管理」とは、リスクマネジメントの一部であり、企業にとって深刻な影響をもたらす可能性がある重大なリスクについて管理することと定義します。一般的には災害などの危機が発生した場合に被害を最小限に抑えることを目的とします。なぜなら、事前に対策を講じておくことそのものが危機管理のひとつと考えられることは間違いないためです。たとえば、不祥事が発生した場合に、すみやかに広報部門から事実関係について公表するとか、今後の再発防止策を発表するなどの対応が求められます。これらの対応は事前に準備しておくことが重要となることは疑いようがないでしょう。

災害以外にも、以下については危機管理が必要な事項といえます。
戦争、販売している商品の不具合や事故、サイバー攻撃によるシステム障害、役職員の犯罪、企業不祥事、風評被害、個人情報漏えい、セクハラ・パワハラ、株価の変動、為替の変動、原油価格の変動、金利の変動、規制強化、新型コロナウイルスなどによる世界的大流行(パンデミック)

2、なぜ危機管理が重要なのか

企業活動になぜ危機管理が重要なのかについて、改めて解説します。たとえ、どんなに売り上げが順調でも、ひとたび災害などの危機が発生して工場などが甚大な被害を受けると操業が停止し、莫大な損失が発生する可能性があるからです。実際に、令和2年に全世界を襲っているコロナ禍でも、多くの企業が倒産に追い込まれています。

このように、突発的な危機が訪れた場合に、対策をしておかないと最悪の場合、倒産してしまうということです。たとえば、学校であれば、事前にオンライン授業ができる体制整備をしていれば、緊急事態宣言があったとしても自宅で学習ができたわけです。飲食店であれば、普段からリスクヘッジとしてテイクアウトをしていた店舗は、今回のように自粛要請を受けてもすみやかに対応できたのではないでしょうか。

結果論と言われればそれまでかもしれませんが、強毒型のインフルエンザ対策は以前から叫ばれていたことでした。つまり、ウイルスの大流行への備えについてはすでに企業に求められていたものの、重要視されなかったというのが、今回のコロナ禍で露呈されたわけです。

新型コロナウイルスの脅威はまだなくなったわけではなく、第2波、第3波に備えておく必要があります。企業としては、さまざまなリスクを想定して対策を講じておく必要があるでしょう。

3、危機管理対策の運用例

危機管理対策は、①リスクの洗い出し、②リスクへの対応策の検討、③危機発生への対応という流れで行われることになります。リスクの洗い出しは、社内で行う場合も多いですが、弁護士や公認会計士などの専門家も加えて「リスク管理委員会」を設けて検討する企業もあります。

  1. (1)リスクの洗い出し

    リスクの洗い出しでは、リスクの評価を行い、優先順位を付ける必要があります。対策にはお金がかかるものもあるため、全てに対応できるとは限らないからです。優先順位を付けたら、優先順位が高いものから、個別具体のリスクについて対策をしていくことになります。具体的には、危機管理計画書を作成するのが一般的です。

    危機管理計画書は、危機管理の一般的な考え方をまとめたもので、危機状態での指揮系統や緊急時の対応について一見してわかるように簡潔にまとめておくことが重要です。具体的な内容としては、①危機管理の理念や方針、②被害想定とそれに対する対応方法、③危機時でも行う業務の選別、④計画の実行方法、⑤責任の所在、⑥危機管理体制への移行条件、⑦日常的な教育と訓練の方法、⑧危機時対応の記録方法などが定められます。

  2. (2)リスクへの対応策の検討

    法的な観点から、危機管理を考えると、法律上は企業には安全配慮義務が課されています。従業員が安全に業務を遂行できるよう配慮する必要があるということです。

    東日本大震災では津波により多くの犠牲者が出ましたが、企業など雇用側の対応によって責任が問われるケースもありました。

    たとえば、東日本大震災の津波で犠牲になった宮城県石巻市立大川小学校の児童23人の遺族が、市と県に約23億円の損害賠償を求めた訴訟もその一例です。二審判決は、校長らには児童の安全確保のため、地域住民よりもはるかに高いレベルの防災知識や経験が求められると指摘し、校長らは学校の立地などを詳細に検討すれば津波被害を予見できたと判断し、遺族側へ損害賠償を支払うよう命じています。市と県は上告していますが、最高裁第1小法廷は、上告を退ける決定をしています。

  3. (3)危機発生への対応

    万が一の危機発生時に備え、「危機管理マニュアル」を作っておく必要があるでしょう。危機管理が求められるのは突然のことが多いものです。万が一のときにあわてないためにも、あらかじめやるべきことをマニュアル化し、危機が訪れた際にはそのマニュアルに従い対応するようにすることで誤った対応をしないよう、あらかじめ周知しておく必要があります。

    前述の東日本大震災の事例では、校長らは学校の実情に沿って危機管理マニュアルを改訂する義務があったのに怠ったと指摘されています。結果、市の教育委員会もマニュアルの不備を是正するなどの指導を怠ったとして、市と県は約14億3600万円の支払いを命じられています。

    他方、東日本大震災の津波で犠牲になった七十七銀行女川支店の従業員3人の遺族が、銀行に損害賠償を求めた訴訟で、最高裁第2小法廷は、遺族側の上告を退ける決定をしています。

    七十七銀行女川支店の事例では、これまでに実施してきた避難訓練措置が適切であったことや、災害発生後にできる限りの情報収集を尽くし危機管理マニュアルに従ったことが評価されたのです。結果、「20メートル近い高さの津波の予見は困難だった」として遺族の請求を棄却しています。

    これらの裁判例から、適切な危機管理マニュアルを作成しておくことや避難訓練をしておくことが、いかに大事かがわかります。

4、危機管理対策を弁護士に依頼すべき理由

危機管理には、自然災害やウイルスのように不可抗力的なものと、企業の不祥事や役職員の不正行為など人為的なものがあります。

前者の場合は、発生自体を止めることはできませんが、後者の場合には、予防措置をとることで、ある程度は回避することが可能です。また、実際に危機が発生した場合でも、後者の方が世間の風当たりは強くなります。

企業が負う責任は、法的責任と社会的責任があります。法的責任は最低限負わなければならない責任で、社会的責任は、法的には義務を負わないものの企業(組織)としての誠意や社会への影響を考慮して企業の判断で行う措置です。

社会的責任を果たすにしても、その前提には法的責任を負った上でのことに限られます。したがって、法的責任を明らかにすることが重要になるのです。この部分については、弁護士に相談することで対応が可能です。支払うべき損害賠償請求額を算定したり、対外的なマスコミ対応について弁護士の同席を求めたりするなどして対応することができます。

その他、平時においては、法的な問題が発生しないように、コンプライアンス研修を行う必要があるかもしれません。さらには、不祥事が起こりにくくするため、ガバナンス体制を構築したりすることも弁護士に依頼することができます。また、内部通報制度の通報先として法律事務所を指定しておくことも可能です。特に顧問契約を締結すれば、日頃から企業の内容について事情がわかるので迅速に対応することが可能になります。

5、まとめ

今回は、企業における危機管理について解説してきました。もし、これまで何もしてきていなかったという場合には、すぐにでもリスクの洗い出しを行うことをおすすめします。基本的な内容は本記事で書きましたが、危機管理の内容は、多岐にわたり、また、業種によっても内容が異なるので個別対応が求められます。

社内で危機管理について検討する場合には、経営幹部と各部門の担当者だけでなく、弁護士などの専門家も交えて行うことが重要です。法的な観点からのアドバイスが得られることはもちろん、第三者の立場から消費者の視点でアドバイスも得られるからです。

ベリーベスト法律事務所 大宮オフィスでは、労働法関連、企業法関連について経験豊富な弁護士が在籍しており、企業の危機管理についてもアドバイスを行っております。今後の、危機管理について不安があるという場合には、お気軽にご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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