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36協定は私にも関係ある? 弁護士がわかりやすく解説!

2019年11月13日
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36協定は私にも関係ある? 弁護士がわかりやすく解説!

長らく“サービス残業”が横行してきた、日本社会。激務によるうつ病や過労死も、社会問題として注目を集めました。
しかし、日本の労働環境の悪さが散々指摘された結果、官民で少しずつ状況が改善され始めています。今年4月からは、働き方改革関連法が順次施行されました。今後は働きやすい環境が整えられていくことが予想されますが、社会全体に浸透するまでにはもう少し時間がかかりそうです。

厚生労働省が発表した「平成29年度監督指導による賃金不払残業の是正結果」によると、労働基準監督署による監督指導が行われた企業のうち、「100万円以上の未払い割増賃金」を支払った企業の数は計1870社。総計20万5235名の労働者に総額446億4195万円もの未払い残業代が支払われています。つまり、これほど膨大な金額分を日本の労働者はタダ働きさせられていたことになり、どれほど深刻な状況かお分かりいただけるかと思います。

実は未払い残業代にも2年の時効があることをご存じでしょうか? 法律の厳格化に従って企業が変わるのを待っていては、遅いかもしれません。今すぐ正しい労働法の知識を身につけて、ご自分の身を守りましょう。
今回は、大宮オフィスの弁護士が、労働法の基礎知識「36協定」について解説します。「36協定」は全ての労働者が知っておくべきルールなので、ぜひ押さえておきましょう。

1、今年の4月から厳格化! そもそも「36協定」とは

当たり前のように従業員に時間外労働(残業や休日出勤)をさせている企業は多いですが、実は時間外労働をさせるためにはあらかじめ労働者と企業との間に協定を結んでおかなければならないと労働基準法第36条に定められています。
この労使協定は、条文の番号にちなんで「36(さぶろく)協定」の通称で呼ばれています。
法律で定められている労働時間の上限は「1日8時間、週40時間」です。これを「法定労働時間」と言います。使用者が「法定労働時間」を超えて従業員を無制限に酷使することのないよう、「36協定」のルールで守っているのです。

しかし、実際には多くの労働者が「36協定」の存在や意味すら知らず、長時間労働を強いられてきました。
このような状況を受けて、2019年4月施行の改正法では「36協定」の規定が厳格化されました。罰則規定も設けられ、今まで以上に労働者を守る内容となっています。

  1. (1)「36協定」締結のプロセス

    「36協定」は、ひとつの事業場ごとに締結しなければならないのが決まりです。つまり全国に支店がある企業なら、支店ごとに作成する必要があります。

    まず「労働者の過半数で組織する労働組合」または「労働者の過半数を代表する者(過半数代表者)」が使用者との間で「36協定」を締結します。ここで言う「労働者」には、正社員だけでなくアルバイトやパート社員など非正規労働者も含まれます。
    「過半数代表者」はあくまでも民主的な方法で選ばれた人でなければなりません。使用者が自分にとって都合の良い社員を指名した場合、「36協定」自体が無効となってしまいます。

    署名捺印した書面は、その事業所を管轄する労働基準監督署に届け出なければなりません。労働基準監督署に届け出ることによって、「36協定」は有効となります。

  2. (2)全ての労働者に周知しなければならないのがルール

    「36協定」は労働基準監督署に届け出をして終了、ではありません。その後は、以下のいずれかの方法で全ての労働者に周知させなければならないとされています(労働基準法第106条第1項、労働基準法施行規則第52条の2)。

    • 事業所内の見えやすい場所に掲示、または備え付け
    • 書面を労働者に交付
    • パソコン等により常に閲覧可能な状態にしておく

  3. (3)「36協定」を雇用契約書・就業規則に盛り込まないと残業させられない

    「36協定」には、下記2でもお伝えする、労働者に時間外労働をさせた場合の刑事罰を免除する効力があるに過ぎません。
    実際に個々の労働者に時間外労働をさせるためには、「36協定」の内容を雇用契約書と就業規則に盛り込まなければなりません。

  4. (4)「36協定」にも労働時間の上限がある

    「36協定」で労働者側が合意さえすれば、何時間でも働かせてよい訳ではありません。使用者が労働者を無制限に酷使することのないよう、労働時間の限度基準を設けて労働者を保護しています。

    これまでの限度基準は厚生労働省の告示のみにとどまりましたが、改正後は労働基準法に限度時間として明記され、罰則規定も設けられました(中小企業への適用は2020年4月)。以下の時間を超える時間外労働をさせた場合、刑事罰を科されるということになります。
    なお、特別条項については(5)にて説明いたします。

    ●特別条項なし
    月45時間、年360時間

    ●特別条項あり

    • 年720時間まで
    • 「複数月の平均80時間以内、単月100時間未満」(休日労働含む)
    • 月45時間を超えることができるのは年間6か月まで

  5. (5)「特別条項付き36協定」とは

    「原則として「月45時間、年360時間」が上限ですが、「通常予見することのできない業務量の大幅な増加等に伴い臨時的に限度時間を超えて労働させる必要がある場合」にのみ、特別条項を設けて年720時間まで時間外労働を命じることができます。たとえば、突発的な機械の故障が発生した場合などです。
    ただしこの場合においても「複数月の平均80時間以内、単月100時間未満」でなければならず、さらに「年6回まで」しか月の限度時間を超えて働かせることができないと定められています。
    改正法では「特別条項付き36協定」を定めるに当たって以下の項目を定めなければならないと定められています。

    • 限度時間を超えて時間外労働させることができる場合
    • 限度時間を超えた労働に係る割増賃金の率
    • 限度時間を超えて労働させる場合における手続き
    • 特別条項が適用される労働者に対する健康および福祉を確保するための措置

    4つ目の「健康および福祉を確保するための措置」は、今回の改正で新しく追加された項目です。具体的には、以下のような行動を使用者に義務付けています。

    1. 労働時間が一定時間を超えた労働者に医師による面接指導を実施すること。
    2. 労働基準法第 37 条第4項に規定する時刻の間において労働させる回数を1か月について一定回数以内とすること。
    3. 労働時間を延長して労働させる者についてその終業から始業までに一定時間以上の継続した休息時間を確保すること。
    4. 労働者の勤務状況およびその健康状態に応じて、代償休日または特別な休暇を付与すること。
    5. 労働者の勤務状況およびその健康状態に応じて、健康診断を実施すること。
    6. 年次有給休暇についてまとまった日数連続して取得することを含めてその取得を促進すること。
    7. 心とからだの健康問題についての相談窓口を設置すること
    8. 労働者の勤務状況およびその健康状態に配慮し、必要な場合には適切な部署に配置転換をすること。
    9. 必要に応じて、産業医等による助言・指導を受け、または労働者に産業医等による保健指導を受けさせること

    など

2、36協定を結んでいないと企業に罰則がある?

法定労働時間を超えて従業員に労働をさせている全ての企業が、「36協定」を締結する必要があります。もしも「36協定」を結ばずに時間外労働をさせた場合、その企業は「6か月以下の懲役または30万円以下の罰金」を科される可能性があります。

また、これまではあくまでも“目安”でしかなかったため、限度基準を超えて残業をさせても違法とはなりませんでした。
しかし今年の4月以降は、限度時間を超えて従業員を働かせた企業は、法律違反として刑事罰の対象となります(中小企業は2020年4月より)。

3、「36協定がなかった」「あるかどうかわからない」場合は、どうすればいい?

もし勤務先に「36協定」がないことに気づいたら、速やかに管轄の労働基準監督署に通報しましょう。「36協定」がないのに残業をさせられていた場合、労働基準法に違反するものとして刑事罰の対象となります。

次に「あるかどうかわからない」状況についてですが、これは周知義務違反が考えられます。前述の通り、企業は「36協定」を従業員に周知させる義務を負っています。これに違反した場合も「30万円以下の罰金」を科される可能性があるでしょう(労働基準法第106条第1項、第120条第1号)。

労働基準監督署には匿名で通報することも可能です。電話やメールでも通報が可能ですが、一番効果が期待できるのが証拠となる資料などをもって労働基準監督署を訪問する方法だと言われています。

4、未払い残業代を一刻も早く回収したいなら、弁護士に相談を

未払い残業代を自力で回収することは不可能ではありませんが、慣れていない人にとっては非常にハードルが高い手続きです。弁護士に依頼すれば、手持ちの証拠が少ない状況でも未払い残業代を回収してくれる可能性が高くなります。
たとえば、勤務先への証拠開示請求、裁判所への証拠保全手続き申し立てなど、専門家ならではの対応をしてくれるでしょう。

多くのケースでは内容証明郵便を送って未払い残業代を請求しますが、弁護士の名前が記載されている方が勤務先に“戦いの本気度”を伝えることもできます。その結果労働者個人の名前で請求するよりも、スムーズに交渉が成立することを期待できます。
現時点で未払い残業代の消滅時効は2年と短いですから、なおさら早めに弁護士に相談することをおすすめします。

5、まとめ

全ての労働者が知っておくべき、「36協定」の基礎知識。4月の改正法施行によって、日本の労働環境も少しずつ改善していくのかもしれません。
もし勤務先が「36協定」のルールに違反していることに気づいたら、早めに弁護士と労働基準監督署に相談しましょう。
残業代請求などについてお困りの場合は、ベリーベスト法律事務所 大宮オフィスにご相談ください。労働問題解決の経験豊富な弁護士が、あなたのお悩みについてサポートします。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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