離婚後でも財産は分けてもらえる!?財産分与請求調停について弁護士が解説します!
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離婚をするときはどうしても感情的になってしまい、財産分与について話し合うことができなかった、話し合える状況ではなかったといった場合があります。
離婚後でも財産分与の請求はできるのだろうか?専業主婦で収入がなければ、財産はすべて夫のものだと言われてしまうのでは?とお悩みの方も少なくありません。
離婚する前または離婚時に財産分与の取り決めをしておくことが望ましいのですが、「とにかく離婚したい!」という気持ちが先走り、離婚後の財産分与を適切に分けることをすっかり忘れていたという方もいらっしゃいます。
離婚成立後でも財産分与を請求することは可能なのか?今回は、離婚後の財産分与について、ベリーベスト法律事務所 大宮オフィスの弁護士が解説いたします。
1、財産分与とは?
財産分与とは離婚する際に夫婦で築いた財産を分配する制度です。
「私は専業主婦だから稼いだお金がない。だから、分配してもらえる財産もない。」とためらう奥様もいるかもしれません。しかし、専業主婦で収入がゼロであっても、奥様が家事や育児をしているお陰で、夫が会社で稼ぐことができているという観点から、夫が稼いだ資産は夫婦が共に築いた資産として、専業主婦の方にも原則的には財産の2分の1を得られる権利があるのです。
そして、財産分与は「清算的財産分与」「扶養的財産分与」「慰謝料的財産分与」の3つに分けられます。
「清算的財産分与」とは、離婚をする際、婚姻期間中に夫婦で築いた財産を分け合うことをいいます。一般的に財産分与と呼ばれるものはこの清算的財産分与にあたります。清算的財産分与は離婚原因に関係なく、夫婦の財産は二人で分けましょうという考えに基づいているため、離婚原因を作った有責配偶者からも請求することが可能です。
「扶養的財産分与」とは、病気や子育てで働きに出られないといった事情で、離婚後にどちらか一方の生活が苦しくなる場合に、相手を扶養するために行われる特殊な財産分与です。扶養的財産分与は離婚後一定期間の扶養を約束するものであり、通常、期限を定めます。
「慰謝料的財産分与」とは、財産分与の中に慰謝料分を加味する考え方です。相手が慰謝料請求に応じないといった場合に、慰謝料的財産分与の考え方が用いられることがあります。
2、財産分与のタイミングと期限
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(1)財産分与を請求するタイミング
財産分与は、協議離婚であれば協議の際に決めることが大半です。離婚調停や離婚訴訟の場合には、調停や離婚裁判の中で決められます。ですが、離婚にはさまざまな事情が伴いますので、必ずしも離婚と同時に話を進める必要はありません。離婚した後でも財産分与の請求は可能です。
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(2)財産分与の請求期限
財産分与を請求できる期限は、離婚成立から2年間になります。原則としてこの期間を延長することはできませんが、離婚後2年以内に調停の申立てさえ行えば、調停が終了するまで財産分与の請求は可能です。
請求期限まであまり時間がない場合は、ひとまず調停の申立てを行ってから、調査などの準備を進めた方が良いでしょう。
ちなみに、離婚原因を作った配偶者に対し慰謝料を請求できる期限は離婚成立から3年間です。財産分与の請求期限は、慰謝料請求の場合よりも1年間短いので注意しましょう。
3、財産分与の割合について
財産分与の割合は、原則として2分の1ずつになります(「2分の1ルール」)。
専業主婦の方で、夫が働いて稼いだお金だから財産分与は受け取れないのでは?と不安になられる方が多いのですが、結婚生活というのは夫婦の協力で成り立つものです。専業主婦は夫が働いている間、子育てや家庭を守り、夫を支えているわけですから、財産の分配を受ける正当な権利があります。
原則として2分の1ずつと決められている財産分与の割合ですが、夫婦の共有財産に対する貢献度に偏りがある場合は、この割合が変わってきます。
たとえば専業主婦の方で、家事をほとんどしなかったといった場合は、共有財産への貢献度が低いとみなされ、財産分与は2分の1以下になる可能性があります。
また、夫が医師や弁護士といった特殊な資格によって高収入を得ている場合も、財産分与の割合は変わることがあります。資格を取得するために行った努力は個人の資産形成につながるからです。夫が資格を取得するために、妻が経済的・精神的なサポートを行っていたという場合は夫婦の財産形成に貢献したと認められる可能性があります。
4、財産分与の対象
結婚後に夫婦が協力して築いた共有財産が財産分与の対象になります。名義が夫婦どちらかになっていても、婚姻期間中に夫婦で築いたものであれば共有財産になります。
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(1)財産分与の対象になるもの
- 結婚してから貯めた預貯金
- 家や土地等の不動産
- 自動車
- 有価証券
- 生命保険の解約返戻金
- 退職金(但し、離婚時に退職間近であることが必要。)
- 家財道具
- 結婚生活に必要な借金(家や車のローンなど)
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(2)財産分与の対象にならないもの(特有財産)
- 結婚前に貯めていた預貯金
- 夫婦どちらかが相続した財産
- 結婚前から持っている個人的な持ち物
- 個人的な借金(ギャンブルなど)
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(3)マイナスの財産について
財産分与の対象には、結婚生活に必要な借金や住宅ローンなど、マイナスの財産もふくまれますので注意しましょう。もっとも、上記のとおり個人的な借金は対象になりません。
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(4)子供名義の預金や保険について
子供名義の預金は、お年玉など子供が他人からもらったものであれば子供の固有財産であり、財産分与の対象にはなりません。夫婦の給料等から積み立てていた場合は財産分与の対象になる可能性があります。
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(5)別居後の財産について
離婚が成立する前から別居状態だったというケースは少なくありません。別居は夫婦で共同財産を築いている状態とはいえないため、別居後に築いた財産についてはそれぞれの単独財産になり、原則として、財産分与の対象から外れます。言い換えると、結婚から別居時までの財産が財産分与の対象となります。
5、財産分与請求調停について
離婚が成立した後に財産分与を請求する場合、離婚から2年以内であれば家庭裁判所に調停の申立てをして、財産分与を求めることができます。これを財産分与請求調停といいます。
財産分与請求調停は、夫婦で築いた財産や、財産に対する貢献度合いなどについて夫婦双方から事情を聴き、話し合いが進められます。
当事者間同士の話し合いで財産分与請求をすることも可能ですが、相手が話し合いに応じない、話し合いがまとまらずにこじれてしまったというケースも多々ありますので、財産分与請求調停を申立てた方が良いでしょう。
財産分与請求調停は、家庭裁判所の調停委員が第三者として介入するので、冷静に、客観的な視点をもって話し合いを進めることができるため、話がまとまりやすくなります。また、調停が成立すると「調停調書」が作成されます。「調停調書」があると強制執行が可能になるので、相手が任意に財産分与を支払わない場合も、財産分与の回収が可能になるといったメリットもあります。
6、財産分与請求調停の申立てと流れについて
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(1)財産分与請求調停の申立てに必要な書類
財産分与請求調停を申立てるには、以下の書類が必要になります。
・調停の申立書とその写し1通ずつ
・離婚時の夫婦の戸籍謄本
・財産目録
・夫婦の財産に関する資料(不動産登記事項証明書、固定資産評価証明書、預貯金通帳の写し、給与明細など) -
(2)申立てに必要な費用
・収入印紙1200円分
・連絡用の郵便切手(金額は裁判所により異なりますが、さいたま家庭裁判所では1220円とされています。) -
(3)申立て先
相手方の住所を管轄する家庭裁判所、または当事者が合意で決めた家庭裁判所
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(4)財産分与請求調停の流れ
財産分与請求調停は、以下のような流れで進みます。
- ①調停の申立て
- ②調停期日の決定
- ③第1回目の調停(調停が成立した場合はここで終了)
- ④第2回以降の調停(第一回目で成立しない場合)
- ⑤調停の終了
調停で話し合いがまとまらない場合、審判により、財産分与を争うことになります。
7、財産分与を有利にすすめるために
財産分与を有利に進めて、少しでも多くの財産を得るためのポイントをご説明します。
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(1)相手の財産を把握する
調停では必ずしも相手が全財産を開示してくれるとは限りません。
相手の財産は同居中に調べておくのが一番確実な方法ですが、離婚した後でも弁護士会照会制度を利用して調査することが可能です。
弁護士会照会とは、弁護士が担当する事件について、調査を円滑に行うために定められた法律上の制度です。弁護士に依頼する必要がありますが、弁護士会照会制度を利用することにより、相手の預貯金や株式、生命保険などの資産価値が分かる可能性があります。 -
(2)見落としている財産がないか確認する
見落としやすい財産として、以下があげられます。今一度確認してみましょう。
・財形貯蓄
・退職金
退職金は、相手方の会社の状況にもよりますが、退職金がもらえる状況でかつ退職時期が近い場合であれば財産分与の対象になると考えられています。 -
(3)共有財産に対する自分の貢献度を主張する
もし、財産の中で自分の貢献度が高いものがあれば主張しましょう。自分の貢献により、財産を大きく増やした経緯や実績があれば、2分の1以上の分配を受けられる可能性があります。また、夫婦の協力関係がなかった時期があり、財産を平等に分けるのが不公平な事情がある場合は、この点も主張すべきです。長期におよぶ家出や、刑務所に入っていた場合などが該当します。
8、財産分与請求調停を申立てるときは、ぜひ弁護士に相談を
財産分与請求調停をお考えの方は、ぜひ一度、ベリーベスト法律事務所 大宮オフィスにご相談ください。離婚相談の経験が豊富な弁護士が対応いたします。
財産分与を有利に進めるためには、専門家の知識が必要です。不動産や生命保険といった、一見、分割できない財産についての計算方法も丁寧にお教えいたしますし、弁護士に依頼すると、上記で説明した弁護士会照会制度を利用することができるので相手方の財産をより正確に把握することが可能になります。
離婚された方の中には、DVのように身の危険にさらされた方もいらっしゃるかと思います。調停は別席で行われるため、相手方と顔を合わせずに進めることができますが、弁護士が同席することでご依頼者様の精神的な負担を減らすこともできます。
離婚にはとても繊細な事情が伴います。まずは、あなたの思いをじっくり聞かせてください。それから一緒にベストな解決方法を探していきましょう。
弁護士に依頼すると費用がかかるのでは・・・?と不安な方もいらっしゃるかと思いますが、ご安心ください。当事務所は初回相談無料となっております。その後の相談料・費用についても「明朗会計」を心がけておりますので、お気軽に法律相談にいらしてください。
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