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親権争いが起こったら? どう対処すべきかを弁護士が解説

2019年01月09日
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親権争いが起こったら? どう対処すべきかを弁護士が解説

離婚において争点となることが多いのが、親権者の決定です。一般的に、子どもと一緒に暮らしていない親が親権を獲得するのは難しいのですが、平成28年3月、夫婦の別居に伴い、幼い娘を妻に連れて行かれ、約5年間面会させてもらえなかった埼玉県の男性が、娘の親権をめぐって妻と争っていた離婚裁判で、千葉家庭裁判所松戸支部が、男性を親権者と認める旨の判決を出したことが、ニュースなどで話題となりました。

親権者の選定は、子どもの将来に大きな影響を与えうる重要事項です。家庭裁判所でもその判断は難しく、長期的に争うことになるケースもあります。また、子どもの親権をめぐっての争いは、絶対に譲れないと考える親も多いはずです。

親権争いが起こった場合、どのように対応すべきでしょうか。家庭裁判所における判断基準を含め、弁護士が解説します。

1、親権について

離婚する場合、夫婦間で取り決めなくてはならない項目が多くありますが、未成年の子どもがいる場合、その中でも特に重要なのは、離婚後どちらが子どもを引き取って育てていくのか、すなわち、夫と妻のどちらに親権を帰属させるかということです。

実は、親権とはひとつの権利を指すものではなく、未成年の子どもに対して発生する複数の権利をまとめて「親権」と呼んでいます。厳密には、親権は大きく2つに分類され、合計で6つの権利が含まれています。

  1. (1)子どもを育てて暮らしていくための「身上監護権」

    身上監護権は、子どもの監護および教育に関する権利をまとめたものです。

    ●子どもが身分法上の行為をするにあたっての親の同意・代理権
    子どもが幼い場合、身分行為に関して判断能力を持っていないことから、縁組・離縁などの身分行為については、法定代理人である親権者に同意権・代理権が認められています。

    ●親が子どもの居所を指定する権利
    未成年の子どもに対する監護および教育を目的として、子どもの居住地を親が指定できる権利です。

    ●子どもに対して親が懲戒・しつけをする権利
    未成年の子どもに対する監護および教育に必要な範囲で、親が子どもにしつけを行うことができる権利です。しかる・言い聞かせるなど、あくまでも常識的な範囲でのしつけを意味します。当然のことながら、懲戒という名の下に、殴る・蹴るなどのいきすぎた暴力をふるうことが正当化されるものではありません。

    ●子どもが職業を営むにあたって親がその職業を許可する権利
    未成年の子どもが職業に就く場合に、親が許可を与える権利です。たとえば、子どもがアルバイトを始める際に、親の承諾が必要なのはこの権利の表れです。

  2. (2)子どもの財産を管理する権利

    子どもの財産を管理し、その他財産上の法律行為の代理および同意する権利をまとめたものです。

    ●包括的な財産の管理権
    親権者が行う管理行為には、子どもの財産の価値を維持する保存行為のほか、これを利用および改良する行為、処分する行為が含まれます。
    また、親権者には、子に代わって、その財産に関する法律行為を行うことができる代理権が認められています。

    ●子どもの法律行為に対する同意権
    親の同意が必要であるにもかかわらず、未成年の子どもが親の同意を得ずに契約をした場合、その親はその契約を取り消すことができます。
    たとえば、子どもが勝手に第三者からお金を借りる契約(金銭消費貸借契約)をした場合には、親権者はこれを取り消すことができます。

2、親権者はどのように決定するか

夫婦間で離婚の話し合いが円満に進んでいても、どちらも子どもを手放したくないとして、お互いが親権を希望するために話し合いが行き詰まってしまうことがあります。ここでは親権者を決める際の流れをみてみましょう。

  1. (1)協議離婚で親権者を決定

    夫婦双方の合意で協議離婚が成立した場合、市区町村役場に離婚届を提出します。離婚届を提出する際、夫婦間に未成年の子どもがいるときは、夫と妻のどちらかを親権者とするのか、離婚届に記載しなければなりません。そのため、この場合は、離婚届を提出する前に親権について話し合いをする必要があります。

  2. (2)調停で親権者を決定

    離婚自体に合意していたとしても、離婚後の親権者をどちらにするかについて争いがある限り、離婚はできません。
    そこで、まずは離婚調停を申し立てることになります。調停とは、家庭裁判所において、第三者である調停委員を交えて話し合いをする手続きです。調停における話し合いの中で、親権者について合意ができれば、裁判所により調停調書が作成され、親権者が決定します。

  3. (3)裁判で親権者を決定

    協議離婚をすることができず、離婚調停も不成立となった場合は、別途、離婚訴訟を提起することになります。離婚訴訟において、家庭裁判所が離婚を認める場合、夫婦に未成年の子があれば、裁判所の判断によりその子の親権者が定められることになります。その際には、生活環境、経済状況、管理能力、子どもの意向などのさまざまな調査が行われることもあります。

    裁判所は親権者を定める際に、以下の4つの考慮要素を検討します。

    ●継続性
    夫婦が別居していて、夫か妻のどちらか一方のみが現に子どもを監護教育しているという場合、現状の監護者の監護教育が安定しており、子が生活環境にも適応しているときには、これを重視することになる、という基準です。

    ●兄弟姉妹不分離
    たとえば、原則として、長男の親権者を父、長女の親権者を母とするように、兄弟姉妹を分離すべきでない、という考え方です。

    ●母親優先
    特に、乳幼児については原則として母親に親権を委ねるべき、という考え方ですが、近年ではそれほど重要視されなくなってきています。

    ●子の意思の尊重
    親権者の指定について裁判をするに当たっては、子どもの年齢および発達の程度に応じて、可能な限りその子の意思を尊重しなければならない、という考え方です。

3、調停で争う場合のポイント

夫婦間で親権が争われる場合は、まとまりにくいケースが多いものです。では、親権をめぐって調停を行う場合、どこにポイントを置くべきか知っておきましょう。

  1. (1)これまでの子の監護状況

    夫と妻による、これまでの子どもに対する監護状況や教育姿勢は、重要な判断要素になります。

  2. (2)今後の監護方針

    離婚後の監護方針も重要な判断要素になります。つまり、夫と妻のどちらが、子どもの養育にふさわしい環境を継続して提供できるか、という観点です。

  3. (3)子どもに対しての愛情

    子どもに対する愛情ももちろん重要な判断要素です。親権者として欠かすことのできない条件といっても過言ではありません。しかし、愛情の度合いを客観的に測るのは難しく、判断しにくいものでもあります。そのため、どちらの親が今まで「子どもと長い時間を過ごしてきたか」で判断されることもあります。

  4. (4)親権者の健康と経済的状況

    心身の健康状態に問題があると、親権者として選択されにくい傾向にあります。病気とまでいかなくても、性格や言動に問題がある場合は、子どもの養育者としてふさわしくないと判断されることもあるでしょう。
    また、親の経済状態も一定程度考慮されます。育児はどうしてもお金がかかるものであり、経済的に余裕があるかどうかは評価の対象になるのです。とはいえ、収入の多寡のみで親権者の決定がなされるわけではありません。

  5. (5)子どもの状況

    子どもの状況に関しては、その子どもの年齢が15歳以上であれば、自分の意思を表明できますが、10歳未満だと自分の意思を表明できる能力に乏しいことが多いです。日本では、乳幼児の親権が争われている場合、おおむね母親に親権をゆだねる傾向にあるようです。しかし、冒頭の事例のようなケースもありますので、父親側も最初からあきらめる必要はありません。

4、裁判で争った場合で有利に進めるためのポイント

最終的に親権を裁判で争うことになった場合、どのように進めることで状況を有利にしていくべきでしょうか。

家庭裁判所では「子どもの福祉」を最優先します。その上で家庭の事情や状況を総合的に判断し、親権者を決定していきます。調停で話し合いが進まず、当事者間での合意が得られない場合、いわゆる裁判で決定することになります。

裁判において親権を決定する要素は、子どもの利益を優先するので、その観点からみて、親権者の適格性、子どもの意思、監護状況やその継続性などを考慮します。しかし、当然、機械的に決定されるものではありません。
「親権を父母のうちどちらにゆだねた方が、子どもがより幸せになれるか」ということを、上記で説明したような様々な要素を踏まえて判断がなされます。

すでに述べていることではありますが、以下の点は、家庭裁判所での判断に大きな影響を与えるポイントです。

  • 監護の継続性
  • 兄弟姉妹の不分離
  • 母親優先(特に乳幼児の場合)
  • 子どもの意思

5、親権が決まった後の手続き

調停によって親権が決まった後は、以下の手続きが必要になります。まずは戸籍法に従った届け出を行います。これは離婚調停が成立してから10日以内に行われなければなりません。

管轄の市区町村の役場に届け出をすることになります。届け出の際には、離婚届、調停調書謄本、(本籍地以外で届け出る場合には)戸籍謄本を提出する必要があります。

6、まとめ

親権をめぐって父親と母親が対立する場面は、できるなら子どもに見せたくないものですが、一度夫婦間で争いになってしまったら非常に難しい状況になります。子どもにとっても親にとっても将来がかかった重要な決定になりますので、慎重な判断が求められます。

それ故、家庭裁判所も機械的な決定はせず、父母の状況や、子どもの状況など、総合的な判断をするようにしています。しかし、機械的でないということは、反面、誤った情実に流される可能性も否定できません。その点で、弁護士が介在すれば、裁判所に対し正しい判断材料として提供できるというメリットがあります。また、親権争いについて経験豊富な弁護士であれば、裁判所が重視する判断要素などについて適切なアドバイスを受けることもできます。

親権について争いになりそうなときは、まずはできるだけ早いタイミングでベリーベスト法律事務所・大宮オフィスにご相談ください。離婚・親権問題の対応経験が豊富な弁護士が、あなたにとってベリーベストな結果を得られるよう、最善を尽くします。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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