自首を検討するとき弁護士に相談したほうがよい理由とは
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さいたま市大宮区を管轄する埼玉県警察が公表している「犯罪統計」によると、令和元年における埼玉県内の刑法犯の認知件数は55497件に上ります。そのうち被疑者が検挙されたものは18750件に過ぎません。すなわち、35000件以上の事件で被疑者が検挙されていないことを意味します(ただし、殺人や強盗といった重要犯罪における検挙率は約9割です)。さらにいうと、犯罪自体が捜査機関に発覚していないケースも少なくはないでしょう。
罪を犯してしまったけれど“捕まっていない”、“知られていない”といった人の中には、「いつか捕まるのでは」とおびえながら暮らしている人がいるかもしれません。自首するか悩んでいる人もいるでしょう。
本コラムでは、大宮オフィスの弁護士が、「自首」について解説します。“自首することで受けられる恩恵”や“逮捕される可能性・されない可能性”など、自首する前に弁護士に相談すべき理由を知っておきましょう。
1、自首が成立するための条件
「自首」という言葉は、刑事ドラマなどで頻繁に耳にすることでしょう。自首とは、何らかの犯罪を起こした人が、警察などの捜査機関に対し自ら罪を申告し、その処分を求めることをいいます。
自首が成立するためには次の4つの要件を満たすことが必要とされています。
①自発的な犯罪事実の申告
まず、「自発的に自分の犯罪について申告している」ことが必要です。たとえば、具体的な事件に対する嫌疑のもとでの取り調べや職務質問の最中にその罪を自白しても自首にはあたりません。
②自身の処分を求めている
次の条件が、「犯罪を行った本人が自身の処分を求めている」ことです。犯罪自体は申告したものの刑事責任については拒んでいるような場合には自首は成立しないと考えられます。
③捜査機関に申し出ている
警察や検察などの「捜査機関に自ら申告している」ことが必要になります。
④犯人の特定または事件が発覚する前の申告
捜査機関に「犯罪事実が発覚する前か、犯罪事実は発覚していても犯人が誰か特定される前に申告している」ことも自首の成立要件となります。したがって、指名手配されている犯人が自分から警察署に赴いても自首にはあたりません。
2、なぜ自首したほうがよいのか?
何らかの犯罪を起こしてしまい、後悔や反省、逮捕されるかもしれないという恐怖から自首を考える人もいると思います。自身が犯した罪ですから申し出て謝罪することは当たり前といえますが、いざ自首するとなると不安や恐怖があるのもまた当然でしょう。それでも自首したほうがよい理由についてお伝えします。
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(1)処分が軽くなる可能性がある
自首したほうがよい、最大の理由は「処分・処罰が軽くなる可能性がある」ことです。刑法第42条1項に「罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首したときは、その刑を減軽することができる」とあります。つまり、自首が成立した場合、裁判所は、自首した人に対する刑を軽減することができるのです。必ず軽減されるということではありませんが、自首は自らの罪を後悔・反省していることを示す行為ですから、有利な事情として考慮される可能性は十分にあります。
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(2)逮捕されずに済む可能性がある
逮捕は、基本的には、被疑者の逃亡や証拠隠滅のおそれがあるときに行うものです。したがって、後悔・反省を示す行為である自首がそれらを否定する事情となりえます。その結果として、自首せず犯罪が発覚した場合に比べて逮捕を回避できる可能性が高まるといえるでしょう。
自首をせず、捜査によって犯人と特定され逮捕に至った場合、地方であれば地方紙などに載ってしまうことがあります。周囲に知られてしまうのはもちろん、最悪の場合、職場を解雇されるおそれもあります。自首によって、そのようなリスクを回避する可能性を高めることができます。 -
(3)不起訴となる可能性が高まる
自首は、検察官が起訴・不起訴の判断をするにあたって、有利な情状(事情)として評価されることがあります。そのため、自首することにより不起訴となる可能性を高めることができます。
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(4)恐怖からの解放
事件の発覚や逮捕の可能性におびえながら暮らすことが精神衛生上良くないことはいうまでもありません。自分の罪を認めることもまた恐怖を伴う行為ではありますが、自首によって、先の見えない不安から解放され、心理的負担を軽減することができるでしょう。
3、親告罪における自首
起こした犯罪が「親告罪」(被害者側の告訴がなければ検察官が起訴できない種類の犯罪)である場合の自首について、刑法は次のように定めています。
かみ砕いていうと、“親告罪にあたる罪を犯した人が被害者など告訴できる人に対してその犯罪を申告した場合には、警察に名乗り出た場合(自首)と同様に扱う”ということです。この場合でも、捜査機関に犯人が特定される前、または犯罪が発覚する前に申し出る必要があります。
申告することが被害者からの許しや示談につながり、刑事事件を回避する手段となる場合もありますし、刑事事件になった場合に有利な事情となりえます。親告罪では告訴されるかどうかが非常に重要なポイントとなりますから、基本的には、なるべく早めに被害者に対して罪を申告し、示談交渉を行うのが望ましいといえます。
「自身のケースでは自首が成立するのか」、「罪を申告するべきなのか」などお悩みでしたら、一度弁護士にご相談ください。法律的観点からアドバイスをいたします。
4、自首した後の流れ
自首を検討するにあたって不安なのが、「自分は逮捕されてしまうのか?」など、その後の流れではないでしょうか。
まず、これは自首の効果としての話ではありませんが、自首をしに警察署に行き、その場で逮捕されることは少ないといえます。通常、被疑者を逮捕するためには裁判官が発付する逮捕令状が必要です。捜査機関に発覚する前に警察署に自白に来た人(自首した人)に対しては逮捕令状が用意されていないわけですから、その状態で逮捕することはできないのです(犯罪の種類が殺人や強盗など重大なものの場合はその場で逮捕されることもあります)。
したがって、まずは任意の取り調べに入り、取り調べの結果、逮捕の必要があると判断された場合には逮捕されることになります。
また、前述したように、逮捕というのは逃亡や証拠隠滅をされないように被疑者の身柄を拘束する特別な措置です。そのため、自らの罪を認め逃亡しないことを示す行為である自首をすることで、逮捕されず「在宅事件扱い」となる可能性が高まります。
在宅事件とは、被疑者の身体を拘束せずに捜査される事件のことをいいます。その場合も刑事事件の被疑者であることに変わりはありませんので、捜査を経て起訴・不起訴が決まります。在宅事件だからといって罪が軽くなるわけではありませんが、被疑者は捜査への協力は必要ですが、普段どおりの生活を送ることができることが大きなメリットです。
5、逮捕後の流れ
たとえ自首した場合であっても犯罪の内容によっては逮捕されてしまいます。
逮捕後は最大で72時間身柄を拘束され、捜査機関の取り調べを受けます(警察48時間以内、検察24時間以内)。その後、検察官が引き続き被疑者の身柄拘束が必要であると判断した場合、裁判所に対して勾留請求を行い、請求が認められると、そこから10日間(最大で20日間まで延長可能)引き続き身柄を拘束されます。一方で、裁判所が勾留は妥当でないと判断した場合、その時点で被疑者は釈放され在宅事件として扱われることになります。
自首した場合であっても、逮捕後の基本的な流れは通常の逮捕と変わりません。しかし、自首したという経緯が考慮される可能性は十分にありますし、捜査機関と裁判所における印象もよいでしょう。
6、弁護士に依頼すべき理由
自らが犯した事件について自首しようと考えているのなら、まずは弁護士に相談することをおすすめします。弁護士であれば以下のような対応が可能です。ぜひ依頼して自首の効果を最大限活用してください。
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(1)自首に同行
自分が起こした犯罪とはいえ、自首には大変な勇気が必要です。ひとりで警察署に赴くのが不安な場合、弁護士に同行してもらう方法があります。
事前に弁護士が警察に連絡を入れますので、到着したときにスムーズな対応が受けられますし、弁護士の同行によって捜査機関による不当な捜査を抑止する効果も期待できるでしょう。 -
(2)自首後の見通しが立つ
自首前に弁護士に相談することで、その後の流れや見通しについて説明が受けられます。気になることは遠慮なく質問し、不安を軽くしてください。また、取り調べでの適切な受け答えなど、自首後のアドバイスも行います。
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(3)捜査機関と交渉
犯罪の内容次第では、事件の詳細や自首を決意した経緯等をまとめるとともに、在宅事件とすることが相当である旨を記載した自首報告書を作成します。逮捕された場合でも、被害者と交渉して示談成立を目指すことのほか、処分の軽減を求める意見書などを提出し捜査機関に働きかけます。さまざまな弁護活動を通じて、起訴前はもちろん、起訴後のサポートを行います。
7、まとめ
自首には不安や恐怖が伴います。簡単にできることではないでしょう。しかし、「自分が犯した罪がいつか明らかになるかもしれない」「逮捕されるのでは……」という思いを抱えながら日常を過ごすことにも大きなストレスがかかります。
ベリーベスト法律事務所 大宮オフィスでは、自首同行はもちろん、自首するかどうか悩んでいる方のお話も伺います。いつ訪れるか分からない逮捕や呼び出しにおびえる暮らしから抜け出すため、ぜひ一度ご相談ください。知識と経験豊富な弁護士があなたの苦しみに寄り添います。
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