大宮区で窃盗事件を起こしてしまったら? 窃盗事件の解決方法を弁護士が解説

2018年10月22日
  • その他
  • 窃盗罪
大宮区で窃盗事件を起こしてしまったら? 窃盗事件の解決方法を弁護士が解説

平成30年8月、さいたま市にある消防署の敷地内から、干していた消防服が盗まれるという事件が発生しました。現時点で犯人はまだ見つかっていないようですが、消防署内では、庁舎周囲の警備の強化と、物品管理の徹底を図ることで、再発防止に努めていくようです。

埼玉県内随一の歓楽街がある大宮区は、さいたま市内でも窃盗事件の発生件数が比較的多いエリアです。窃盗の被害に遭う可能性はもちろん、あなたの家族が何らかの理由で、窃盗罪に問われたり、巻き込まれたりする可能性が、一切ないとは言い切れません。
まずは、窃盗罪についての基礎知識をおさらいするとともに、もし家族など身近な人が窃盗を犯してしまったとき、どうすればいいのかなど、大宮オフィスの弁護士が解説します。

1、窃盗罪の概要など

窃盗罪は、一般的には「泥棒」などと呼ばれ、だれもが知る古典的な犯罪ではありますが、刑法上ではどのように扱われていて、どのような行為が罪に問われることになるのか、具体的にご存じでしょうか。

窃盗罪の概要、罰則などについて詳しく解説します。

  1. (1)窃盗罪の法的根拠

    窃盗罪は、刑法第235条に規定されている犯罪です。冒頭の事例のような、敷地内への侵入窃盗のほか、以下に代表される手口がよく知られています。

    • 空き巣
    • 事務所荒らし
    • 学校荒らし
    • 万引き
    • 自転車盗
    • 置引き
    • すり


    たとえば、「万引き」や「空き巣」のように呼び方が変わると、罪の重さがそれぞれ異なるような気がしてしまうかもしれません。しかし、これらは全て同じ窃盗罪に該当し、同じ罪として裁かれることになります。

  2. (2)窃盗罪が成立する要件

    窃盗罪が成立するのは刑法235条の条文に示されているとおり、「他人の財物を窃取した」場合です。

    まず、「他人の財物(ざいぶつ)」とは、他人が所有権を有する財物のことを意味します。「他人」には、特定の個人だけではなく、会社や学校なども含まれますし、「財物」には、金銭や宝飾品などの有体物だけでなく、電気も含まれます。

    よって、店舗の許可を得ず、店舗のコンセントを用いてスマートフォンの充電を行うと、窃盗罪に問われる可能性があるということです。なお、「財物」には財産的価値が不可欠ですが、たとえ他人にとっては金銭的価値がなくても、所有者が使用価値を感じていれば、「財物」にあたるとされています。

  3. (3)窃盗罪の罰則と時効

    窃盗罪の罰則についても、刑法235条に明文化されています。具体的には、「10年以下の懲役または50万円以下の罰金」です。「懲役(ちょうえき)」は、刑務所に拘束して所定の作業を行わせる自由刑で、「罰金(ばっきん)」は、お金を支払わせる財産刑です。

    なお、窃盗罪の常習犯については、「盗犯等ノ防止及処分ニ関スル法律(通称:盗犯等防止法)」第3条で規定されており、刑罰が加重されることになります。

    具体的には、過去10年以内に6ヶ月以上の懲役刑を3回以上受けた者が、常習として窃盗を行ったときに、「常習累犯窃盗」とされ、「3年以上の懲役」が科されます。

    それぞれの罪で裁かれたとき、科される可能性がある罰則は、以下のとおりとなります。

    ●「窃盗」刑法第235条の罰則
    ……1ヶ月以上10年以下の懲役、又は1万円以上50万円以下の罰金

    ●「常習累犯窃盗」とみなされたときの罰則
    ……3年以上20年以下の懲役

2、窃盗罪で逮捕されるケース

「逮捕」には、次のようなケースが考えられます。

  • 「現行犯逮捕」……逮捕状が無くても、犯行時や犯行直後に身体を拘束されるもの
  • 「通常逮捕」……逮捕状に基づいて、身体を拘束されるもの
  • 「緊急逮捕」……一定の重大な罪を犯したことを疑うに足りる充分な理由がある場合に、逮捕状なしに身体を拘束され、その後に逮捕状の発行が求められるもの


窃盗罪で「現行犯逮捕」されるケースは、以下のとおりです。

  • 万引きをして店舗関係者に取り押さえられた
  • ひったくりをしたところ、周囲の通行人に取り押さえられた


一方で、以下のようなケースでは、「通常逮捕」される可能性もあるでしょう。

  • 他人の邸宅に侵入し、金品を盗んで逃走した
  • 自動販売機を破壊し、中から金銭を盗んだ
  • 窃盗をはたらいた様子が、防犯カメラの画像や指紋などの鑑識資料から判明した


なお、法律上、犯人であると疑われる「被疑者」が、逃亡したり、証拠隠滅を図ったりする危険性がなければ、逮捕することはできないものとされています。逮捕は、やむをえず、一定期間身柄を拘束する特別な措置といえます。

そこで警察は、被疑者に対して、警察で話をしてもらうように依頼する「任意同行」を求めることも少なくありません。この任意同行で、罪を認め、反省の意を示すとともに、被害者との示談を成立させることができれば、長期間の身体拘束や起訴そのものを避けられる可能性が高まります。

3、窃盗罪で逮捕された場合の流れ

もし、窃盗罪の疑いで「逮捕」されてしまったら、どのような措置を受けることになるのでしょうか。逮捕後の刑事手続きの流れを簡単に解説しましょう。

「逮捕」された被疑者は、身柄(身体)を拘束されたうえで取り調べを受けることになります。最大48時間の間に、警察は被疑者の身柄と事件の関係書類を検察へ「送致」します。ニュースなどでは「送検」と呼ばれています。

「送致」を受けた検察官は、24時間以内に、引き続き被疑者の身柄を拘束して捜査を継続する必要があるかを判断します。必要がある場合、検察官は裁判所に「勾留(こうりゅう)請求」を行います。「勾留(こうりゅう)」が決まると、原則10日、最大20日もの間、身柄を拘束されて取り調べなどの事件捜査を受けることになります。

取り調べ等の結果を通じて、検察官は被疑者の責任を問うために刑事裁判を提起するか否かを決定します。刑事裁判を提起する行為は「起訴」と呼ばれ、起訴された場合は、「被疑者」から「被告人」へ呼ばれ方が変わることになります。一方で、「不起訴」として釈放されることもあります。不起訴となった場合には前科がつきません。

なお、起訴するか否かは、「勾留」している場合には、勾留期間が終わる日(満了日)までの間に決定されます。ただし、勾留されていない場合には、起訴までの期限は決まっていません。

起訴されるにあたっても、「公判請求」がなされるか、「略式請求」がなされるかによって、被告人の身柄の扱いが変わります。「公判(こうはん)」とは、公開された形で裁判が行われることで、一般の方々が自由に傍聴できる刑事裁判を通じて、被告人の行為が裁かれることになります。被告人は、原則、裁判が終わり、刑罰が決まるまでは拘置所で身柄を拘束され続けることになります。初回の公判は起訴の約1ヶ月前後に行われることが多いですが、状況によっては裁判が終わるまで数ヶ月かかることもあります。

なお、「略式(りゃくしき)起訴」は、被告人が罪を認めていて、求刑内容が罰金又は科料に限られた軽微な事件で行われます。この場合は、起訴後に釈放されることになります。

4、窃盗事件を自分で解決する方法

窃盗事件を起こし、逮捕されてしまうと、長期間の身柄拘束を受けて社会から隔離されてしまう可能性が高まります。すぐに身柄を解放してもらうための手を打たなければ、逮捕から起訴されるまでの間だけでも、最大23日間も会社や学校を休まなければならない状況に陥る可能性もあるのです。

つまり、一定期間、社会から隔離されてしまい、職を失ったり、退学を迫られたりするリスクを負うことになります。もし前科がついてしまえば、生涯にわたって影響を受けてしまう可能性もあるでしょう。

そこで、あなた自身やあなたの家族が起こした窃盗事件を、当事者だけで解決し、刑事手続きや厳しい刑罰を避ける方法が「示談」です。示談とは、当事者同士が話し合い、和解することを指します。窃盗事件では、心からの謝罪とともに、窃取の対象となった金品の返還や、迷惑をかけてしまったことに対する慰謝料の名目で示談金を支払うことになります。

警察や検察は、捜査や起訴、求める処罰を決める過程で、示談成立の有無を非常に重視します。示談を成立させることは、大きな意味を持つのです。示談を成立させることができれば、次のようなメリットを期待できます。

  • 事件化される前であれば、逮捕を回避する
  • 逮捕後であれば、勾留などの身柄拘束を回避する
  • 起訴前であれば起訴を回避する
  • 起訴されたとしても処分が軽減される


示談交渉を行う際は、弁護士に相談して一任するのが賢明です。法的な知識を持ち、窃盗事件の示談の経験が豊かな弁護士であれば、自身に代わって適切なタイミングで示談交渉を行ってくれるでしょう。

自分自身で示談を進めようとすると、被害者が立場を逆手にとって法外な示談金を求めてくるケースもありえます。また、刑事事件における示談では、相手が加害者を許したと明言する「宥恕(ゆうじょ)文言」が重要となりますが、これを入れ忘れてしまうケースもあるでしょう。

弁護士に一任すれば、判例等に基づいて妥当な示談金額を提示することが可能です。その他、法外な示談金を支払うような不利益を被ることや、示談内容の確認ミス等の回避も期待できるでしょう。

5、まとめ

ここでは、窃盗事件によって、逮捕や身柄拘束などに対して不安を抱いている方に向けて、窃盗罪の概要や罰則、示談の方法などを解説しました。窃盗罪は、一般の方でも手を染めてしまうことがある、ある意味では身近な犯罪です。特に近年では、孤独感の解消やスリルを求めて窃盗に手を染めるケースも少なくなく、依存症としても認められ、社会問題化しつつあります。

たとえ、依存症状態であったとしても、「窃盗罪」に該当すれば、厳格な刑事手続きを経て刑罰を受けることになります。その際、将来にわたる傷を残さないために打てる手が、示談です。特に逮捕直後は加害者本人が身柄を拘束されてしまう上、最大72時間は家族との面会ができないことの方が圧倒的に多いです。しかし、弁護士であれば自由に接見できますし、示談に向けて素早い行動を起こすことができます。

もし窃盗事件を起こしてしまったのであれば、早急に弁護士に相談し、示談交渉によって解決することをおすすめします。

ベリーベスト法律事務所 大宮オフィスでは、窃盗事件の弁護や示談の経験豊富な弁護士が強力にサポートいたします。ぜひお気軽にご連絡ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています