痴漢で後日逮捕されるパターン等をさいたま市の弁護士が解説

2018年08月20日
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痴漢で後日逮捕されるパターン等をさいたま市の弁護士が解説

通勤中に、駅のホームで女性とぶつかったことはありませんか?
その際に、自分の肘や手が女性の身体に触れてしまった場合、それが故意でなかったとしても、痴漢の容疑がかけられないかと不安になってしまうかもしれません。
その場で女性が声を上げ、被害を訴えなければ、その場を去る男性がほとんどだと思いますが、後から痴漢容疑で逮捕されることはあるのでしょうか。
また、後日逮捕される場所はどこで、後日逮捕の可能性がなくなるまでにはどれくらいの期間が必要なのでしょうか。
今回は、痴漢で後日逮捕されるパターン、逮捕される場所及び逮捕されるまでの期間について、さいたま市の弁護士が解説します。ぜひ参考にしてみてください。

1、痴漢で後日逮捕されるパターンとは?

JR京浜東北線の大宮駅構内で女性とぶつかった際に、自分の肘が相手女性の胸にあたり、痴漢の誤解を受けたかもしれない。 その場は何も言わず立ち去ったが、後から逮捕されてしまう可能性はあるのだろうか、と心配になったことはありませんか。

痴漢には、その場で逮捕される場合と後から逮捕される場合があります。 その場で逮捕されることを現行犯逮捕、後から逮捕されることを通常逮捕(後日逮捕)と呼びます。
現行犯逮捕とは、警察官だけでなく被害者や痴漢行為を目撃した人が逮捕する方法です。逮捕状は必要ありません。また、逃げようとした被疑者を駆けつけた警察官が逮捕することもあります。この場合も逮捕状は必要ありません。
一方、後日逮捕の場合には逮捕状が必要で、また、一般人は逮捕することができず、警察官が逮捕をします。具体的には、まず、被害者が痴漢被害を受けたと申告することで、警察の捜査がはじまります。そして、捜査を通じて証拠がそろってきた段階で警察は裁判所へ逮捕状を請求し、容疑者を逮捕します。証拠としては防犯カメラの映像や、Suica(スイカ)などの共通乗車カード・電子マネーの記録が用いられたりします。その他、複数の目撃者情報も証拠となって、後日逮捕がおこなわれることもあります。

2、後日逮捕の場所や逮捕されるまでの期間は?

後日逮捕となる場合は、警察があなたのもとへ逮捕状を持って訪れます。 逮捕状を発行するのは裁判所です。警察官は裁判所へ逮捕状を請求し、裁判官が逮捕の要件を満たしていると判断すれば逮捕状が発行されます。
ただし、逮捕状の請求には、ある程度の証拠が必要です。証拠を揃えるためには被疑者が特定されていなければならないため、警察においてそもそも被疑者を特定できているかどうかによっても逮捕状の発行にかかる時間が変わります。
被疑者を特定できている場合は、事件発覚から1ヶ月以内には逮捕されるケースが多いです。被疑者が分かっておらず、その特定に時間がかかる場合は、逮捕状が発行されるまで半年~1年以上もの時間がかかることもあります。

また、上述の通り、逮捕状の請求にあたって、警察は防犯カメラの映像や定期券として利用するICカードなどを分析して証拠を集めたりしますので、このような分析にも時間がかかります。

3、どれくらいたてば後日逮捕の可能性がなくなる?

警察が被疑者を逮捕できる期間に期限はありません。そのため、後日逮捕の可能性がなくなることはないと考えるのが妥当です

ただ、公訴時効はあります。
公訴時効とは、検察官が被疑者を起訴することができる期間のことです。
仮に、さいたま市の大宮区で起こった痴漢事件の場合で考えるなら、被疑者は『埼玉県迷惑行為防止条例』に違反した罪に問われるので、公訴時効は3年。犯罪行為の終わったときから数えて3年が経過すると、検察官は被疑者を起訴できなくなります。悪質な痴漢行為の場合は、被疑者は強制わいせつ罪に問われるので公訴時効は7年です。
いずれの場合であっても、検察官が起訴することができないと判断すれば、警察が後日逮捕に踏み切る可能性は極めて低いと考えられます。
また、『埼玉県迷惑行為防止条例』に違反した罪の公訴時効は、犯罪行為の終わったときから数えて3年ですが、民事の損害賠償請求権にかかる時効は、被害者が損害および加害者を知ったときから3年です。そのため、被害者が加害者の身元を特定した時点で事件から3年が経過していた場合、刑事の公訴時効は成立しているものの、民事の損害賠償請求権にかかる時効は成立していないということになります。このことから、たとえ公訴時効が成立していても、被害者が民事の損害賠償請求権を請求するために訴えを提起することにより、裁判所から通知が届くかもしれません。通知が届いたら、裁判所に出廷したり、被害者と示談交渉をして支払う慰謝料の金額を決めたりするなどの対応が必要でしょう。

さらに、犯罪行為が終わったときから20年が経過すると、民事の賠償請求権は消滅します。これは、被害者が加害者の身元を未だ特定できていなかったとしても、痴漢事件から20年が経過すれば、被害者には慰謝料を請求する権利がなくなるということです。

4、まとめ

手の甲や肘が当たっただけでも、被害者が訴えれば痴漢の被疑者にされることがあります。
その場で現行犯逮捕されなかったとしても、後日逮捕される可能性はあります。
痴漢を起こしてしまって後日逮捕を心配されている方、あるいは、故意ではないが痴漢と誤解された節があり後日逮捕されるのではと思っている方は、ベリーベスト法律事務所 大宮オフィスまでご相談ください。大宮オフィスの弁護士がじっくりとお悩みをうかがい、最適な解決に向けて力を尽くしてまいります。

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