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労災が原因で3日間休んでも休業補償はもらえない? 誰に請求すべきか

2023年07月31日
  • その他
  • 労災
  • 3日間
労災が原因で3日間休んでも休業補償はもらえない? 誰に請求すべきか

埼玉労働局によれば、令和3年の埼玉県内において、労災によって仕事を4日以上休業したのは7837人でした。

労災で仕事を休んだときには休業補償の給付を受けることができますが、休業補償は、仕事を休んで4日目からが対象で、最初の3日間は労災で補償されません。

この仕事を休んだ最初の3日間について、労災以外から補償を受ける方法はあるのでしょうか。また、労災の発生が会社の責任によるものである場合、会社に何らかの責任追及はできるのでしょうか。

この記事では、労災の休業補償で対象外とされている最初の3日間への対応方法、会社に責任がある場合の損害賠償請求などについて、ベリーベスト法律事務所 大宮オフィスの弁護士が解説します。

1、労災で補償されない3日間とは?

  1. (1)休業補償とは?

    そもそも休業補償とは、
    ① 業務災害または通勤災害による傷病の療養のため
    ② 労働することができず
    ③ 賃金を受けられない
    日の4日目から上記に述べた要件に該当する日についての請求に基づき、労災から支給される補償のことをいいます。

    そのため、その請求は、たとえば1か月分をまとめて請求することも可能ですし、実際に休業した日について、休業補償の支給事由を満たす限り支給されます。
    なお休業してから最初の3日間は、休業補償の対象外となっています。

    支給額は、休業1日につき給付基礎日額の60%相当額で、これと併せて、休業特別支給金として、休業1日につき給付基礎日額の20%相当額が支給されますので、合計すると、給付基礎日額の80%相当額の補償を受けることができます

    休業補償の申請は、労災に遭った労働者が直接勤務する事業場を管轄する労働基準監督署に対して行う必要があります。

    また、休業補償は、休業した日ごとに、その日の分が2年を経過すると時効にかかりますので、この期間内に労災申請しなければなりません。そのため、長期間分をまとめて請求する場合には、この時効によって請求権が消滅して受給できなくなる場合もありますので注意しましょう。

  2. (2)休業補償が4日目からの理由は?

    休業補償では、休業の1日目から3日目までは待期期間として、労災の対象外とされています。

    そのため、待期期間の3日間は、たとえケガや病気で仕事を休んで賃金を受けていなくても、休業補償を受けることができません。

    この3日間の待期期間が設けられたのは、仮病によって労災の支給申請が行われることを防止するためであるといわれています。これと同様の制度は、健康保険の傷病手当金においても設けられています。

2、補償されない3日間の請求先は?

待期期間の3日間について、休業補償を受けることはできませんが、会社からの補償を受けることができる場合があります。

これは、労災がどのような状況で発生したかによって異なりますので、以下、区別してお伝えします。

  1. (1)業務災害の場合

    業務災害とは、労働者が業務を原因として被った負傷、疾病または死亡のことです。

    以下の2つの要件に該当すれば、業務災害に当たるとされています。

    • ① 労働者が事業主の支配下において仕事をしており(業務遂行性)、
    • ② 事業主の支配下にあることに伴う危険が現実化したものと経験則上認められること(業務起因性


    労災が業務災害の場合、休業初日から3日目までについては、会社は、平均賃金の60%の休業補償を行わなければならないとされています(通勤災害は次章で後述)。

    したがって、業務災害に該当する場合には、会社に休業補償を請求することが可能です。

    また、会社が倒産したなどの理由により、休業補償を受けることができないときには、休業補償特別援護金という制度によって、待期期間3日分の補償を受けることができます。
    この休業補償特別援護金の申請は、労働基準監督署に対して行う必要があります。

  2. (2)通勤災害の場合

    通勤災害とは、通勤によって労働者が被った負傷、疾病また死亡のことをいいます。

    ① 住居と就業の場所との間の往復
    住居 ⇔ 就業の場所

    ② 就業の場所から他の就業の場所への移動
    (最初の)就業の場所 ⇔ (次の)就業の場所

    ③ 単身赴任先住居と帰省先住居との間の移動
    赴任先住居 ⇔ 帰省先住居
    など


    いずれかに該当すれば、通勤に当たるとされています(労災保険法7条2項)。

    労災が通勤災害の場合、業務災害と異なり、3日間の待期期間について、会社からの休業補償はありません

    また、業務災害であれば、労働基準法によって、会社は、従業員が休業しても出勤扱いしなければならないとされていますが、通勤災害には法律でそのような定めがなされていないため、欠勤扱いとされてしまうこともあり得ます。

    欠勤扱いをされてしまうと、ボーナス(賞与)の算定や、次年度の有給休暇の日数に不利益が生じることが考えられますので、通勤災害の場合にどのように対応すべきか、会社と十分に話し合ったうえで慎重に検討する必要があります。

3、有給休暇を使うか休業補償を請求するかは自分で決められる

通勤災害の場合には、3日間の待期期間について休業補償を受けることができず、欠勤扱いとなる可能性があり、業務災害の場合でも、休業補償はあるものの、平均賃金の60%しか補償を受けることができません。

このようなときに有給休暇を使えば、勤務していたことと同じになりますので、休業に比べると不利益は小さいといえます(不利益は、有給の残日数が減る程度といえるでしょう)。

そして、労災で仕事を休むとき、3日間の待期期間について、休業補償と有給のどちらにするかは、労働者が自由に決定することができます

有給を使う方が、労働者にとっては賃金が満額支給になるというメリットがありますし、会社にとっても、休業補償を行う必要がなくなるというメリットがあります。なお、労災の休業補償を受けながら有給で満額の賃金も受け取る、という二重取りはできません。

一方、会社から労働者に対して、休業補償ではなく有給を使うように指示することはできません。したがって、会社に休業補償を請求したにもかかわらず、拒否されて有給を使うように指示された場合には、会社の行為は労働基準法の休業補償義務に違反するものである、ということを念頭に置いて対応することが必要です。

4、会社への損害賠償請求が可能なケースとは?

会社の責任で労災が起きたときには、労災による補償とは別に、会社に対して、債務不履行または不法行為を理由とする損害賠償を請求することができます。

また、同僚による機械の操作ミス、暴力、ハラスメントなどがあり、これに対する会社の対応が不十分であったときには、使用者責任を理由とする損害賠償請求も可能です。

  1. (1)安全配慮義務違反による損害賠償請求

    会社は、労働者との雇用関係に基づいて、労働者の生命・身体等の安全を確保するために必要な配慮を行うべき安全配慮義務を負っています。

    労災の原因が会社の安全配慮義務違反にあるとき、労働者は、会社に対して損害賠償を請求することができます

    労災では、かかった治療費や休業によって受け取ることのできない賃金の補償を受けることはできますが、精神的苦痛などに対する慰謝料を受け取ることはできません。

    しかし、安全配慮義務違反を理由とする損害賠償請求であれば、労災では補償されない慰謝料なども請求することができるため、労災による補償よりも高額となるケースが少なくありません。

    ただし、労災と損害賠償の二重取りはできませんので、労災で受けた補償については、損害賠償の額を算出する際に控除されるのが原則です。

  2. (2)損害賠償を請求するための方法

    会社に損害賠償を請求するためには、「交渉」「労働審判」「訴訟(裁判)」の3つの方法が考えられます

    労働審判は、1人の裁判官と2人の労働審判員の合計3人で構成される労働審判委員会において、話し合いによる解決を目指す裁判手続きです。

    話し合いで解決に至らない場合、最終的には、判決と似たような審判が行われます。労働審判の審理は、非公開で行われ、原則として3回以内の期日で終了します。結論が出るまでの期間は約3か月ですので、訴訟よりも迅速な解決が可能です。

    ただし、迅速な審理のために、労働審判を申し立てる時点から、主張や証拠を漏れなく提出しておかなければならないなど、訴訟とは異なる独自の運用もありますので、弁護士に手続きを依頼することが望ましいといえるでしょう。

    訴訟は、会社の主張との隔たりが極めて大きいなど、話し合いの余地がない場合に選択することとなる手続きといえます。審理が1年を超えることも少なくなく、労働審判に比べると、解決までの時間は長くなってしまう可能性が高いですが、労働審判の結果に不服がある当事者が異議を申し立てれば、審判は効力を失い、通常の訴訟に移行します。

    そのため、話し合いの余地があったとしても、2度手間を避けるために訴訟を選択すべき場合もありますので、労働問題に詳しい弁護士に相談のうえ判断なさることをおすすめします。

5、まとめ

労災や会社への損害賠償を弁護士に相談するメリットは、会社との交渉や訴訟を全て一任することができる点にあります。

会社に対して安全配慮義務違反を理由とする損害賠償を請求するためには、労災が認定されていることだけでは足りず、労働者の側で、会社に安全配慮義務違反や使用者責任があることを立証する必要があります。また、請求すべき損害賠償の額を算定するに当たっても、費目ごとに正確に計算し、労災による補償との調整を行うなどの必要があります。

このためには、膨大な資料の収集・検討や専門的な法知識が必要となりますので、個人でこれらの全てに適切に対応することは困難といわざるを得ず、労働問題に精通した弁護士に依頼することが望ましいといえます。

ベリーベスト法律事務所 大宮オフィスでは、労災に関するご相談を初回60分無料で承っております。ご相談内容に合わせて専門チームと連携し、解決までを親身にサポートいたしますので、まずはお気軽に弁護士にご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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