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自分の親が亡くなったとき、介護してくれた妻にも遺留分はある?

2019年01月16日
  • 遺産を受け取る方
  • 遺留分
自分の親が亡くなったとき、介護してくれた妻にも遺留分はある?

相続時や贈与を受けた際に関係する、平成30年1月1日時点の県内路線価が平成30年7月に発表されました。特に大宮駅周辺の路線価が上昇していて、上昇率も拡大していると報道されています。

相続トラブルというと、何億もの資産がある家庭でしか起こらない出来事だろうと考える方もいるかもしれません。しかし、司法統計によると、遺産分割事件として争われ、解決した事件のうち、遺産の価額が5000万以下というケースはなんと75%を超えています。相続トラブルは、非常に身近なトラブルと考えておいてよいでしょう。

たとえば、あなたの父が病床に伏している間中、献身的な介護を行っていたのが長男であるあなたの妻だったら、あなたの妻にも相続する権利があるように感じるものです。しかし、遺言書に、あなたの妻が受け取れる財産について触れられていなかったら、納得できないかもしれません。このようなとき、被相続人の子どもや配偶者であれば遺留分の主張ができますが、法律上ではどのように扱われるのでしょうか。

今回は、民法で定められた遺産相続のパターンや、遺留分をはじめ、「相続人である子どもの配偶者」の相続権について、大宮オフィスの弁護士が解説します。

1、相続の基礎知識

そもそも遺産相続とは、亡くなった方の財産を親族が受け継ぐことを指します。

法律上、相続は、財産を持つ方が亡くなった時点からスタートし、亡くなった人を「被相続人」と呼び、相続する権利を持つ者が「相続人」と呼ばれることになります。また、民法によって遺産を受け継ぐことができる者の範囲が定められていて、民法によって相続人に該当する方を「法定相続人」と呼びます。

今回は、前述のとおり、3人兄弟の長男である「あなた」の実父が亡くなってしまった、という例で解説しましょう。

  1. (1)遺言がない場合の分割割合

    民法では「法定相続分」として、相続人それぞれの相続割合が決められています。

    たとえば被相続人の配偶者と子どもがいる場合は、配偶者と子どもを「相続人」とし、配偶者が財産の2分の1、残りの2分の1を子どもの数で均等割してそれぞれ分け合うことになります。

    もし今回のケースで、あなたの実母、つまり父の配偶者がすでに他界していたとすると、法律上「相続人」にあたるのは、遺された子どもたちです。つまり、実父の全財産を子どもの数だけで均等に割って相続することになります。

    子どもがあなたひとりなら全財産をそのままあなたが相続することになります。今回、あなたは3人兄弟ですから、「3分の1ずつ分け合う」というのが、法律で定められている基本的な相続方法です。

    しかし、実際に相続の手続きを進める際には、生前に作成された遺言書の内容や、亡くなるまでにそれぞれが贈与を受けた財産なども考慮して分配しなければなりません。

  2. (2)生前贈与を受けていたときの分割割合

    生前贈与とは、その言葉のとおり、生きているうちに資産を分け与えることを指します。被相続人が生きているときに受け取ったお金ですが、亡くなった後は遺産の一部として解釈されるケースがある点に注意が必要です。

    たとえば、実父の相続財産が3000万円あり、マンションの頭金の一部となる300万円を、あなたが父の生前、援助されていた場合について考えてみましょう。

    この場合、実父から300万円の生前贈与を受けたことになりますので、生前贈与した300万円と死亡時に実父が有していた3000万円の合計額である、「3300万円」を相続財産とみなし、300万円の相続を先に受けていたものと考え、あなたの相続分から差し引く必要があるでしょう。

    前述のとおり、3兄弟における法定相続分では、3分の1ずつ分割することになります。本来、あなたに相続する権利があるのは「3300万円」の3分の1である「1100万円」ですが、実際に受け取れるのは、生前譲渡とみなされた300万円を差し引いた800万円となるわけです。

  3. (3)遺言書があるときはどうする?

    実父が遺言書を遺していたパターンも考えてみましょう。

    もし、あなたの父が「次男に全財産を譲る」と記載した遺言書を作成していたとしましょう。素直に従えば、あなたを含めて他の兄弟は、実父の財産を1円も相続できないということになります。

    しかし、土地建物や貯蓄などの財産は、遺された家族がつつがなく暮らすための資金でもあります。そこで、民法では、法定相続人が最低限の遺産を取得できる権利を設けています。それが「遺留分」です。

    この「遺留分」があることを、あなたや三男が主張すれば、たとえ遺言書に「次男にすべての財産を譲る」と書かれていたとしても、遺留分と呼ばれる部分だけは譲り受けることが可能となります。

2、遺留分の基礎知識

改めて、遺留分について解説しましょう。

そもそも、「個人が一生をかけて築き上げた財産を死後どのように処分するかは、故人の遺志に従うべき」という考え方があります。とても自然な捉え方ではあるものの、もし生前贈与や遺言で、すべての土地と建物、現金などを、まったく知らない第三者が取得してしまったらどうでしょうか。遺された家族はたちまち生活が立ちゆかなくなるかもしれません。

もちろん故人の意思は尊重されるべきですが、遺された家族の権利や生活も軽視することはできません。そこで民法では、たとえ生前贈与や遺言があった場合でも最低限の遺産を一定範囲の相続人が受け取れるよう、遺言による財産の処分を一部制限しています。

前述のとおり、仮に「全財産を次男に渡す」といった遺言書があっても、他の兄弟は遺留分を主張することができるということです。

ここで重要なことは、遺留分の主張ができる範囲は、法定相続人のなかでも限定されている点です。遺留分が保障されている親族は以下のとおりです。

  • 被相続人(亡くなった実父)の配偶者
  • 被相続人の子ども


もし、被相続人に配偶者も子どもがいないというケースであれば、被相続人の直系尊属にあたる、被相続人の父母や祖父母に遺留分が保障されます。

したがって、生前、介護から看取りまで献身的に尽くしてくれていたとしても、あなたの妻は、残念ながら被相続人の配偶者でも子どもでもないため、遺留分の主張はできません。しかし、被相続人の長男であるあなた自身は遺留分の主張が可能です。

なお、養子縁組で戸籍上親子関係になっている場合は相続権が発生しますが、ここではイレギュラーなケースのため割愛します。

3、遺留分の計算方法

それでは法定相続人の兄弟が主張できる遺留分について、具体的にご説明していきましょう。ここでは引き続き、被相続人の配偶者は他界しており、3人の子どもが相続人となる場合を想定してお話を進めます。

まず、遺留分算定の基礎となる財産にはどのようなものがあるのでしょうか。被相続人が亡くなる1年前までさかのぼって考えるため、次のようなものが含まれます。

  • 被相続人が死亡時に有していた財産
  • 相続開始から1年以内の生前贈与
  • 被相続人と贈与を受ける者の双方が遺留分権利者に損害を加えると知りながら行われた贈与


これらの財産から、借金などの負債(葬儀費用は含みません)を差し引いた額が、遺留分算定の基礎となります。
なお、生命保険金、死亡退職金などは基本的に遺留分の対象外と考えられます。

今回は、実父の配偶者がすでに他界しているため、法定相続分として3人兄弟が被相続人のすべての財産を相続できます。遺言書があって遺留分を考えなければならなくなった場合は、3人兄弟は全財産の2分の1を均等に分けた、つまり各6分の1ずつ遺留分を有しているかたちとなります。

具体的には、「次男に全財産3000万を相続する」という遺言があり、その前提であなた自身の遺留分を請求するときは、次の計算式で遺留分の計算を行うことになります。

相続人全員の遺留分割合……1/2
被相続人の子どもひとりあたりの遺留分割合……1/2×1/3=1/6


よって、あなたは、3000万円の1/6の割合となる、500万円を遺留分として、次男に請求できることになります。ただし、すでに500万円を生前贈与されているときは請求できません。

なお、実父の配偶者が存命の場合は、全財産の4分の1を子どもらが均等に分けた分の遺留分が認められます。

4、遺留分を巡って起きやすいトラブル

遺言書によって不公平な分割が指示されていたとき、相続トラブルが起きやすいものです。そのほかにも、次のようなケースで相続トラブルが起こることがあります。

  1. (1)長男の妻が長年介護をしていた場合

    長男の妻が、実父が亡くなるまで献身的に介護を続けていた場合、せめてと考えたいところです。特に、次男や三男に介護を頼んでも協力的でなく、ほとんどの世話を長男の妻が行っていたケースはトラブルになるもとになるかもしれません。

    ただ、平成30年時点の民法では、いくら長男の妻が一生懸命介護をしていても、子どもの配偶者には相続権がないため、遺留分どころか法定相続分すらありません。よって、遺言書などが特にないときは、長男自身は相続を受けられますが、長男の妻は、義理の娘であっても法定相続人にはなれません。親子同然の付き合いをしていても、子でない以上、妻は法定相続人ではなく遺留分もありません。

    しかし、ずっと親の面倒を看ていた長男やその妻が、他の兄弟へ均等に財産を相続させたくないと感じても不思議ではないでしょう。もし、その気持ちを慮った実父が生前、遺言書へ「財産のすべてを長男夫婦に譲る」と遺言書に遺していたというケースでは、次男と三男が遺留分の請求を行うことができることになります。

  2. (2)新設された寄与分を主張する場合

    平成30年7月6日に成立した民法改正によって、「相続人以外の被相続人の親族が、無償で被相続人の療養看護等を行った」とき、一定の要件のもとで相続人に対して金銭を要求できるようになりました。これを「特別の寄与」と呼びます。

    先ほどの例のように介護や看病などを通して被相続人に貢献した者は、法定相続人でなくても相続人に対して金銭請求権を主張できるようになった、ということです。

    長男の妻に直接遺留分が設けられたというわけではありません。しかし今後、遺産分割協議において、法定相続人が亡くなった親の面倒を一切看ていなかったなどのケースでは、これまでどおり権利を主張して、法定相続分をきっちり相続することは難しくなるかもしれません。

    ただし、施工日は2019年7月1日となっていますので、施行日よりも前に相続がはじまったときは、長女の妻がいくら介護に貢献したとしても、特別の寄与を主張することはできません。

    ご自身の相続がどうなるか、具体的には、弁護士などの専門家に相談するとよいでしょう。

5、まとめ

今回は、実父が亡くなった場合を想定した、子どもの妻と遺留分との周辺知識についてまとめてご紹介しました。

残念ながら現状、遺言書がなければ、被相続人の子どもの配偶者は遺産を取得することはできません。しかし、将来的には、特別の寄与として相続人に対し、金銭を請求できるようになる予定です。

遺言書がある、遺留分の請求をしたい、生前贈与の有無について争いになっているなどのケースでは、なるべく弁護士のアドバイスを受けながら手続きすることをおすすめします。いくら仲がよい兄弟間であっても、相続の話し合いはトラブルも起きやすいものです。第三者のサポートと専門知識があれば、よりスムーズな解決が望めるでしょう。

遺留分についてよくわからない方は、ベリーベスト法律事務所 大宮オフィスに相談してください。大宮オフィスの弁護士が、必要に応じて税理士とも提携し、適切なアドバイスを行います。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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