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重婚的内縁関係にある場合に相続権はある? 相続するための方法とは

2021年11月11日
  • その他
  • 重婚的内縁
  • 相続
重婚的内縁関係にある場合に相続権はある? 相続するための方法とは

さいたま市が公表している「令和2年版さいたま市保健統計」によると、令和元年度のさいたま市内の婚姻件数は6711件で、そのうち大宮区の婚姻件数は750件でした。しかし、夫婦の形としては、婚姻届を提出した法律婚だけでなく、婚姻届の提出をしなくても夫婦同然の生活を送っている事実婚(内縁)という形も存在します。上記統計では、内縁の夫婦についての件数はわかりませんが、一定数の内縁の夫婦が存在しているものと予想されます。

内縁の配偶者に対しては、法律婚の配偶者と同様に一定の保護が及ぶことがありますが、法律婚の配偶者がいるにもかかわらず、同時に内縁の配偶者が存在するという重婚的内縁関係になる場合には、どのような保護が及ぶのでしょうか。

長期間夫婦同然の生活を送っている方にとっては、将来パートナーが亡くなった場合の相続権があるのかどうかが気になるところです。今回は、重婚的内縁関係にある場合の相続権の有無と相続するための方法についてベリーベスト法律事務所 大宮オフィスの弁護士が解説します。

1、重婚的内縁は愛人とも内縁とも違う?

重婚的内縁関係と愛人関係とは、外形的には似ているとも思えますがどのような違いがあるのでしょうか。以下では、重婚的内縁関係とは何かについて説明します。

  1. (1)重婚的内縁とは

    重婚的内縁とは、法律上の婚姻関係がある配偶者がいながら、内縁関係を形成することをいいます。一般的な内縁関係とは異なり、内縁の夫婦のどちらか一方または双方に法律上の配偶者が存在しているという点が特徴です。

    重婚的内縁関係といえるためには、その前提として、内縁関係の成立要件を満たしている必要があります。内縁関係の成立要件としては、以下のものになります。

    ① 当事者間に婚姻の意思があること
    内縁関係の成立要件の1つとしては、当事者間に婚姻の意思があるということが必要になります。そのため、恋人同士が同棲を続けていたとしても、お互いに婚姻の意思がなければ、同棲期間がどれだけ長期間に及んだとしても内縁関係が成立することはありません。

    当事者間の婚姻意思の有無は、当事者の主観的事情だけではなく、結納・結婚式の有無、親族や知人への紹介の有無・方法、役所への扶養配偶者としての届出の有無などの客観的事情も総合して判断することになります。

    ② 夫婦の共同生活の実態があること
    もう1つの内縁関係の成立要件としては、当事者間に夫婦としての共同生活の実態があることが必要になります。具体的には、お互いが同居して生活をしていることや生活費を一緒に負担し合っているなどの事情があることが必要です。

    なお、法律婚の夫婦であれば、別居状態であったとしても直ちに法律上の婚姻関係が否定されることはありませんが、夫婦の共同生活の実態があることを要件とする内縁関係では、別居を開始したという事情は、内縁関係を否定する事情となりますので、注意が必要です。

  2. (2)重婚的内縁と愛人との違い

    重婚的内縁関係は、法律上の配偶者がいるにもかかわらず、法律上の配偶者以外の人と一緒に生活をしているという点で、愛人と同じなのではないかと思う方もいるかもしれません。

    しかし、愛人とは、一般的に、法律上の配偶者以外の人に対して、経済的な援助を行い、その対価として性的な関係を持つという関係のことをいいます。愛人関係にある当事者同士は、お互いに夫婦であるという認識を持っているということはありませんので、共同生活を送っていたとしても、内縁関係が成立することはありません。

2、重婚的内縁関係の場合の相続権

内縁関係については、可能な限り法律婚の夫婦と同様の法的保護が及ぶとされています。では、重婚的内縁関係の場合には、どのような保護が及ぶのでしょうか。

  1. (1)重婚的内縁関係に対する法的保護

    民法では、「配偶者のある者は、重ねて婚姻をすることができない」(民法732条)として、重婚を禁止しています。民法が明確に重婚を禁止しているため、重婚的内縁関係にある夫婦について法的保護を及ぼした場合には、重婚を禁止した趣旨を没却してしまいます。

    そのため、重婚的内縁関係については、原則として法的保護が及ぶことはありません。

    しかし、法律上の婚姻関係にある配偶者との関係が破綻または形骸化しているような場合には、重婚的内縁関係に法的保護を与えたとしても重婚を禁止した趣旨を害することはないといえます。したがって、例外的に重婚的内縁関係についても通常の内縁関係と同様に法的保護が及ぶことになりえるでしょう。

  2. (2)重婚的内縁関係にある配偶者が死亡した場合の相続する権利の有無

    民法では、配偶者については、常に相続人となると規定しています(民法890条)。しかし、ここでいう「配偶者」とは、法律上の婚姻関係にある配偶者のことを指し、事実婚にすぎない内縁の配偶者は含まれません。

    判例でも「死亡による内縁解消のときに、相続の開始した遺産につき財産分与の法理による遺産清算の道を開くことは、相続による財産承継の構造の中に異質の契機を持ち込むもので、法の予定しないところである」として、内縁の配偶者の相続する権利を否定しています(最高裁平成12年3月10日判決)。

    そのため、重婚的内縁関係が、例外的に法的保護が及ぶとしても、いわゆる内縁の妻などに相続する権利が認められることはありません

3、遺産を相続するための方法

重婚的内縁関係では相続する権利は認められませんが、以下の方法によってパートナーの遺産を相続させることが可能です。

  1. (1)遺贈

    遺贈とは、遺言によって、遺贈者の財産の全部または一部を、受遺者に無償で譲渡することをいいます。遺贈をする相手については、法律上制限はありませんので、法定相続人以外の第三者に対しても遺贈を行うことができます

    重婚的内縁関係にある配偶者には、相続する権利は認められていませんが、あらかじめ遺言書を作成してもらい、その中で重婚的内縁関係にある配偶者に対する財産の譲渡を記載しておくことで、重婚的内縁関係にある配偶者であっても遺産を譲渡することができます。

    ただし、重婚的内縁関係にある配偶者に対して、すべての財産を遺贈するという内容の遺言書だと、法定相続人の遺留分を侵害してしまいます。そうすると遺留分を侵害された法定相続人から遺留分侵害額請求を受けるなど、重婚的内縁関係にある配偶者がトラブルに巻き込まれることもあるので注意が必要です。

  2. (2)生前贈与

    重婚的内縁関係にある配偶者には、相続する権利はありませんので、生前に財産を贈与しておくことによって財産を相続した場合と同様の効果を得ることができます

    生前に財産を移転する方法としては、主に生前贈与という方法が用いられますが、短期間に高額の贈与をしてしまうと、高額な贈与税が課税されるリスクがあります。

    生前贈与については、暦年贈与という年間110万円までの贈与であれば贈与税が非課税になるという仕組みがあります。このような仕組みをうまく利用していくことによって、重婚的内縁関係になる配偶者に対して効果的に財産を移転することが可能になります。

  3. (3)特別縁故者の申立て(民法958条の3)

    重婚的内縁関係にあったとしても、夫婦同然の生活を続けていくうちに、法律上の婚姻関係にある配偶者が先に死亡して重婚的関係が解消されることがあります。

    そのような状態で内縁の配偶者が死亡した場合には、家庭裁判所に対して特別縁故者に対する相続財産分与の申立てをすることによって、内縁の配偶者の遺産の全部または一部を取得することができる可能性があります

    ただし、特別縁故者に対する相続財産分与の申立てをするためには、亡くなった方に相続人が誰もいないかすべての相続人が相続放棄をしたということが必要になります。また、内縁の配偶者に財産分与が認められるかどうかは、家庭裁判所の審判によって決まることになりますので、場合によっては、財産をもらうことができないということもあるでしょう。

4、重婚的内縁関係にあった場合に遺族年金は受給できるのか

法律上の配偶者がいるにもかかわらず、重婚的内縁関係の配偶者が遺族年金を受給することはできるのでしょうか。

  1. (1)重婚的内縁関係でも遺族年金の受給は可能

    すでに説明したとおり、重婚的内縁関係であっても、法律婚が破綻状態になっているなどの要件を満たす場合には、例外的に法的保護が及ぶことがあります。

    このようなとき、審査結果次第ですが、重婚的内縁関係であっても内縁の夫が亡くなった場合には、内縁の妻は、遺族年金を受給することが可能です。

  2. (2)重婚的内縁関係で遺族年金を受給するための要件

    「生計維持関係等の認定基準及び認定の取り扱いについて」(平成23年3月23日年発0323第1号厚生労働省年金局長通知)によると、重婚的内縁関係で遺族年金を受給するためには、以下の要件を満たしている必要があります。

    ① 届出による婚姻関係がその実体を全く失ったものとなっているとき
    届出による婚姻関係がその実態を全く失ったものとなっているときとは、次のいずれかに該当する場合をいいます。

    • 当事者が離婚の合意に基づいて夫婦としての共同生活を廃止していると認められるが戸籍上離婚の届出をしていないとき
    • 一方の悪意の遺棄によって夫婦としての共同生活が行われていない場合であって、その状態が長期間(おおむね10年程度以上)継続し、当事者双方の生活関係がそのまま固定していると認められるとき


    ② 夫婦としての共同生活の状態にない
    夫婦としての共同生活の状態にないとは、次のすべての要件に該当する場合をいいます。

    • 当事者が住居を異にすること
    • 当事者間に経済的な依存関係が反復して存在していないこと
    • 当事者間の意思の疎通をあらわす音信または訪問などの事実が反復して存在していないこと


5、まとめ

重婚的内縁関係にある場合には、例外的に法的保護を受けることができる場合がありますが、相続する権利については重婚的内縁関係にある配偶者には認められることはありません。そのため、重婚的内縁関係にある配偶者に対して財産を残してあげたいと考えた場合には、生前に適切な対策を講じる必要があります。

どのような対策が適切であるかは、それぞれの状況によって異なってきますので、早めに弁護士に相談をすることをおすすめします。重婚的内縁関係の相続についてお悩みの方は、ベリーベスト法律事務所 大宮オフィスまでお気軽にご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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