リバースモーゲージローンで住宅ローンの返済も! 利用上の注意は?
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先日、住宅金融支援機構は、2019年4月~6月分の住宅融資保険付きのリバースモーゲージ型住宅ローン「リ・バース60」の利用実績について、利用件数の伸びが続き、取扱金融機関も増加していると発表しており、リバースモーゲージローンが注目されていることがわかります。
リバースモーゲージローンという方法は、高齢者が自宅を担保に入れることで資金を調達する制度です。リバースモーゲージローンを検討している方の中には、その資金を利用して、現在負っている借金問題を解決したいと考えている方もいるでしょう。
ここでは、リバースモーゲージローンを利用するための条件や、借入金の使途、借金問題を解決するにはどうしたらよいのかなどについて、大宮オフィスの弁護士が解説します。
1、リバースモーゲージローン
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(1)リバースモーゲージローンとは?
リバースモーゲージローンとは、高齢者を対象にした、持ち家を担保にするローンです。
持ち家を手放すことなく、その資産価値を利用してお金を借りられるという特徴があります。金融機関は融資の条件で高齢者の方を対象外とすることがあるため、高齢者にとってはお金を借りる有効な手段と言えます。毎月の支払いは金利のみで、ローン契約者の死亡後に、持ち家を売却することにより元本を返済します。
持ち家があれば、それを担保に高齢者でも現金を得ることができる点がメリットと言えます。デメリットとしては、変動金利であることが多いため金利が上昇することにより毎月の返済額が増加したり、担保不動産の価値が下落し、融資限度額の見直しが必要になったりする点でしょう。
また、リスクとして、想定融資期間よりも長生きすると、融資極度額をオーバーしてしまうことも考えられ、その場合は生存中に住宅を売却しなければならなくなる可能性もあります。 -
(2)利用条件
リバースモーゲージローンを利用できる対象者は、通常60歳以上などとしていることが多いですが、金融機関によって異なります。また、担保条件について、評価額自体や評価額の何パーセントを融資できるか(50~60%が多い)についても金融機関によって異なります。したがって、ご自宅を売却する方が高額であることがあり、リバースモーゲージローンを利用するメリットが自分にあるのかを慎重に考える必要があります。
また、リバースモーゲージローンを利用するメリットがある物件は、評価額が高額である都市部の物件であることが多く、ご自身の物件の評価額を調査してから利用条件に合致しているかを検討した方がよろしいでしょう。
加えて、土地の利用権が借地権である場合は、リバースモーゲージローンを利用できない場合があります。
さらに、リバースモーゲージローンの利用には、推定相続人の同意が必要という条件があります。したがって、子どもが反対した場合などは、リバースモーゲージローンを利用することができなくなってしまう点は注意が必要です。契約者の死亡により担保物件の売却代金で返済しきれなかった場合の取り扱いについては、金融機関によって2つの場合があります。
1つ目は、ノンリコース型と呼ばれるもので、相続人は残債務を返済する義務を免れるものです。2つ目は、リコース型と呼ばれるもので、相続人が残債務を返済する義務を生じるものです。
ノンリコース型の方が相続人にとってはありがたいのですが、金利がリコース型より高く設定されることがあります。担保物件を売却し、それでもなお代金が余った場合には、相続人が受け取ることができます。 -
(3)契約者死亡後の対応
リバースモーゲージローンの契約者が死亡してしまった場合の配偶者は、どのような立場になるのでしょうか。
原則は、契約者の死亡により持ち家は担保として金融機関により売却されますので、以降自宅には住めなくなってしまいます。しかしながら、この点については、以下の対応が可能です。
契約者の死亡により、配偶者が現金その他の財産を相続する場合には、それをもって元本の返済に充てることができれば、担保物件を売却されずそのまま住み続けることが可能です。一般的に残ローンは一括返済を求められることが多いので、他の相続財産によって残ローンを一括で支払うことになります。
配偶者が契約を引き継ぐことで、住み続けるという選択肢もあります。配偶者を連帯債務者にしておくなど一定の条件を満たすことで、契約者死亡後に配偶者が契約を引き継ぐことができる制度も用意されているため、このような制度を利用することも一案でしょう。
2、借金返済のために利用できる?
リバースモーゲージローンにより借りるお金の使途は原則自由のものもあれば、利用目的を限定しているものもありますので確認が必要です。
多くの金融機関では、借入金を住宅ローンの残債の支払に充てることができるとされています。自宅の住宅ローンの返済が完了していない場合に、リバースモーゲージに切り替えることにより、以後の支払いを元本の利息のみとすることができ、ローン返済を軽減する効果を生じさせることができます。
3、借金解決にはまずは債務整理~自宅を残せる方法とは~
リバースモーゲージは老後の資金調達の方法として有益ですが、そもそも融資の条件を満たしていないことがありますし、仮に融資を受けられたとしても使途に制限があったり、思っていたよりも低い金額での融資しか受けられなかったりすることがありえます。借金の返済などで生活が困難になっている方は、債務整理を検討する必要があります。債務整理には、主に3つの種類があります。
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(1)任意整理
裁判所を通さず、債権者と債務者の間で借金の減額や支払回数の組みなおしにむけて和解交渉を行う方法です。任意の手続きですので、債権者が応じてくれない場合も考えられますが、一部の債権者からの借金のみを整理するなど、柔軟な対応が可能となります。任意の交渉ですので、自宅を手放さなければならないなどの条件も特にないため、債権者との話し合いがつけば自宅に住み続けることができます。
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(2)個人再生
裁判所の手続で債務を通常5分の1程度に減額してもらい、無利息で3年から5年かけて返済するものです。一定の条件を満たせば、住宅ローンを支払いながら、自宅に住み続けることができます。ただし、減額されるとはいえ債務の返済は続きますし、住宅ローンの支払はそのまま残りますので、十分な収入が必要となります。
なお、既に自宅を担保としてリバースモーゲージローンを利用している方は、自宅を残したまま個人再生手続を利用することができない可能性があります。自宅を残したまま個人再生手続きを利用するためには、住宅の建設、購入、改良などのために組まれたローンである必要があるからです。 -
(3)自己破産
裁判所の介在により、借金を完全に免責するという方法です。借金をなくすという強力な効果がある一方、生活に必要な必要最低限の分を残して自宅を含めた保有財産をすべて失うなどのデメリットがあります。つまり、自己破産をする場合は、自宅に住み続けることはできなくなってしまいます。
4、返済に困ったとき弁護士に相談するメリット
返済が滞り困ったときは、1人で悩んだり放置したりする前に、弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。借金問題は、放っておいても改善することはなく、早めの対応がカギとなります。また、借金問題解消のため、新たな資金調達方法を試みる場合、一歩間違えるとさらなる負担を背負うリスクも考えられます。
まずは、借金の現状を正確に把握し、弁護士に最適な解決方法を相談するとよいでしょう。弁護士に相談することで、主に二つのメリットがあります。
1つ目は、弁護士に債務整理を依頼すると、債権者は債務者に直接取り立てすることができなくなるため、債権者の取り立てから解放されることです。この点は、精神面で非常に大きなメリットとなります。
2つ目は、相談から債務整理その他の手続き完了まで、安心して任せることができる点です。たとえば、債務整理は特に初めてであれば、どの方法が適切かの判断は難しく、また債権者との話し合いや裁判所との手続きにも煩雑さがあります。
これらのことを、すべて弁護士などの専門家に任せることができるということは、非常に安心感が得られるものと言えるでしょう。
5、まとめ
このように、リバースモーゲージローンという制度を知っておくことで、老後の資金調達の選択肢は増えると言えるでしょう。しかしながら、いくつかデメリットもあることから、債務状況やご家族の状況などを踏まえ、慎重に検討されることをおすすめします。
借金問題を解決したいとお悩みの方は、まず、ベリーベスト法律事務所 大宮オフィスまで気軽にご相談ください。大宮オフィスの弁護士が、丁寧にサポートいたします。
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