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ストーカー被害者に対して弁護士が力になれることと警察以外の相談先

2023年09月07日
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ストーカー被害者に対して弁護士が力になれることと警察以外の相談先

公社社団法人埼玉犯罪被害者援助センターの相談等受理状況の報告によると、令和4年度中に受けた相談2726件のうち、ストーカー被害についての相談は26件でした。さほど多くないように感じるかもしれませんが、ご自身がストーカー被害に遭っているかもしれないとお思いになり、悩まれている方は少なくないでしょう。

とても不安でどうしたらいいのかわからず、どこに相談すべきかだけでなく、実際に相談したら冷たい対応をされて、もっと傷ついたら嫌だなと、悩まれているかもしれません。本コラムでは、ストーカー被害にあったときに相談できる主な国の窓口、そして、弁護士に相談していただいたら、弁護士が何をしてくれるのかという点について、あなたにご理解いただけることを主な目的として、ベリーベスト法律事務所 大宮オフィスの弁護士が解説します。

途中難しいことがたくさん書かれているとお感じになられたら、その箇所は読み飛ばしていただいて構いません。大切なのは、どこに相談すればよいか知っていただけることと、もうこれ以上1人で思い悩まないで済むことです。あなたの不安がこのページをご覧いただくことにより少しでも解消され、ほんの少しでも前向きな気持ちになっていただきたいと考えています。そして、ベリーベスト法律事務所 大宮オフィスに相談してみようかなとほんの少しでも思っていただけたら、これ以上に弁護士としてうれしいことはありません。

1、ストーカーとはなんでしょうか?

あなたがストーカー被害にあっているかもしれないと思い悩まれているのであれば、あなたが被害にあわれているとお思いになる行為がストーカーにあたるのかまずは確認しましょう。1人で悩まれるより前に、2章と3章で解説している主な相談機関や弁護士に早期に相談されることを強くおすすめします本章をご覧いただかなくても、2章3章をご覧いただければ、あなたの不安は以前よりは解消されるでしょう

ただ、あなたは、あなたがされていることがストーカー被害なのか分からなくてこのページをご覧いただいているのかもしれません。せっかく法律事務所のホームページをご覧いただいているので、「ストーカー行為」等の定義を(1)で、ストーカー被害にあったときに法律的にできることを(2)で、示します。なお、以下に紹介する法律上で、「ストーカー」という定義づけはなされておらず、「ストーカー行為」が定義づけされています。

以下に紹介する法律では、「ストーカー行為」という概念のみ存在しています。警察の方等にご相談される際、このことを意識されると、警察の方等が、あなたの話をより真摯に聴いてくれるかもしれません。

ただ、繰り返しになりますが、大切なのは2章と3章なので、意味がよく分からなければ、読み飛ばしていただいて全く構いません。大切なのは2章と3章です。

  1. (1)「ストーカー行為」とは?

    ストーカー行為等の規制等に関する法律(以下法名略)は、「ストーカー行為」について以下のように定義しています。一読して理解するのは難しく、決して簡単な内容ではありません。繰り返しになりますが、難しいなとお思いになっていたら、読み飛ばしていただいて構いません。なお、警視庁のホームページでは、下記の概念をかなりかみ砕いて、絵等も用いて説明されていますので、そちらをご覧いただいてもよいでしょう。

    「ストーカー行為」とは、同一の者に対し、つきまとい等または位置情報無承諾取得等を反復してすることです(第2条4項)。

    ①「つきまとい等」とは
    それでは、「つきまとい等」とはなんでしょうか。法律は以下のように定義しています。「特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情またはそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的で、当該特定の者または配偶者、直系もしくは同居の親族その他当該特定の者と社会生活において密接な関係を有する者に対し」次の行為をすることです(第2条1項1号ないし8号)。

    • つきまとい、待ち伏せし、進路に立ちふさがり、住居、勤務先、学校その他その現に所在する場所もしくは通常所在する場所の付近において見張りをし、住居等に押し掛け、または住居等の付近をみだりにうろつくこと(1号)
    • その行動を監視していると思わせるような事項を告げ、またはその知り得る状態に置くこと(2号)
    • 面会、交際その他の義務のないことを行うことを要求すること(3号)
    • 著しく粗野または乱暴な言動をすること(4号)
    • 電話をかけて何も告げず、または拒まれたにもかかわらず、連続して、電話をかけ、文書を送付し、ファクシミリ装置を用いて送信し、もしくは電子メールの送信等をすること(5号)
    • 汚物、動物の死体その他の著しく不快または嫌悪の情を催させるような物を送付し、またはその知り得る状態に置くこと(6号)
    • その名誉を害する事項を告げ、またはその知り得る状態に置くこと(7号)
    • その性的羞恥心を害する事項を告げもしくはその知り得る状態に置き、その性的羞恥心を害する文書、図画、電磁的記録に係る記録媒体その他の物を送付しもしくはその知り得る状態に置き、またはその性的羞恥心を害する電磁的記録その他の記録を送信しもしくはその知り得る状態に置くこと(8号)


    ここまでお読みいただき、誠にありがとうございます。
    繰り返しになりますが、「ストーカー行為」とは、同一の者に対し、つきまとい等または位置情報無承諾取得等を反復してすることです(第2条4項)。

    注意点としては、「ストーカー行為」にあたる「つきまとい等」とは、上記の第1号から第4号までおよび第5号(電子メールの送信等に係る部分に限る)に掲げる行為については、身体の安全、住居等の平穏もしくは名誉が害され、または行動の自由が著しく害される不安を覚えさせるような方法により行われる場合に限られる点です(第2条4項)。

    第1項1号から4号までおよび5号(電子メールの送信等に係る部分に限る)の内容をご覧いただいて、この内容の行為をされた!! と思われて、直ちに、「ストーカー行為」をされたと判断してはいけない点には特に注意してください。また、「ストーカー行為」は、つきまとい等または位置情報無承諾取得等が反復してなされている必要があり、1回のみでは「ストーカー行為」ではありません

    ② 位置情報無承諾取得等とは
    位置情報無承諾取得等とは、特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情またはそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的で、当該特定の者またはその配偶者、直系もしくは同居の親族その他当該特定の者と社会生活において密接な関係を有する者に対し、次のいずれかに掲げる行為をすることをいいます(第2条3項)。

    • その承諾を得ないで、その所持する位置情報記録・送信装置により記録され、または送信される当該位置情報記録・送信装置の位置に係る位置情報を政令で定める方法により取得すること(1号)
    • その承諾を得ないで、その所持する物に位置情報記録・送信装置を取り付けること、位置情報記録・送信装置を取り付けた物を交付することその他その移動に伴い位置情報記録・送信装置を移動し得る状態にする行為として政令で定める行為をすること(2号)


  2. (2)「ストーカー行為」がなされた場合にできること

    ストーカー行為がなされた場合には、以下のように、あなたは、警察等に警告またはいわゆる禁止命令等の申出をすることができます。さらに、より悪質の場合は、刑事罰の対象として、加害者を刑事告訴等することができます。民事事件として損害賠償請求も可能な場合もあります。

    ① 警告
    警察本部長等は、つきまとい等または位置情報無承諾取得等をされたとして当該つきまとい等または位置情報無承諾取得等に係る警告を求める旨の申出を受けた場合において、当該申出に係る前条の規定に違反する行為があり、かつ、当該行為をした者がさらに反復して当該行為をするおそれがあると認めるときは、当該行為をした者に対し、国家公安委員会規則で定めるところにより、さらに反復して当該行為をしてはならない旨を警告することができます(4条1項)。

    ② 禁止命令等
    都道府県公安委員会は、「つきまとい等または位置情報無承諾取得等をして、その相手方に身体の安全、住居等の平穏もしくは名誉が害され、または行動の自由が著しく害される不安を覚えさせてはならない」という第3条の規定に違反する行為があった場合において、当該行為をした者がさらに反復して当該行為をするおそれがあると認めるときは、その相手方の申出により、または職権で、当該行為をした者に対し、国家公安委員会規則で定めるところにより、次に掲げる事項を命ずることができます(5条1項)。

    • さらに反復して当該行為をしてはならないこと(1号)
    • さらに反復して当該行為が行われることを防止するために必要な事項(2号)


    ③ 刑事処罰を求めること
    もっとも、警告や禁止命令を受けただけでは加害者は刑事罰に触れることまではしていません。

    刑事罰の対象になるのは以下の行為をした者です。かかる者に対しては、刑事告訴等することができます。

    • ストーカー行為をした者(1年以下の懲役または100万円以下の罰金)(18条1項)
    • 禁止命令等(前述した5条1項1号に係るものに限られます)に違反してストーカー行為をした者および禁止命令等に違反してつきまとい等または位置情報無承諾取得等をすることにより、ストーカー行為をした者(2年以下の懲役または200万円以下の罰金)(第19条1項2項)
    • 禁止命令等に違反した者(6か月以下の懲役または50万円以下の罰金)(第20条)


    ④ 民事の不法行為に基づく損害賠償請求

2、ストーカー被害を受けた可能性があるときの主な相談先

突然難解な法律用語がたくさん出てきて驚かれたと思います。驚かせてしまって、大変申し訳ありません。お伝えしたいことは、あなたの行為が「ストーカー行為」にあたるかの判断は、専門家でないと難しいのではないでしょうかということです。

それでは、ストーカー被害にあったときの主な国の相談窓口はどこか見ていきましょう。

  1. (1)警察

    警察は、ストーカー被害を受けて悩んでおられる方に対して、迷わず相談してくださいという姿勢を取っています。

    参考リンク:ストーカーは犯罪です! 被害を受けたらすぐ警察に相談を

    ストーカー被害を受けて悩んでいらっしゃる方は、最寄りの警察署や警察相談専用電話(#9110)等にお電話されるとよいかもしれません。警察相談専用電話へ電話をすると、お近くの都道府県の警察本部の総合窓口につながります。ホームページでは、相談者の心情・境遇などに配慮しながら相談に対応しますとしています。

    ただし、今まさに加害者に追いかけられているなど緊急性が高い場合は、携帯電話・スマホから直ちに110番通報をして警察官の臨場を求めるのをおすすめします

  2. (2)警察以外の公的機関のストーカー相談窓口

    ① みんなの人権110番
    差別や虐待、ハラスメントなど、さまざまな人権問題についての相談を受け付ける相談電話です。電話は、おかけになった場所の最寄りの法務局・地方法務局につながります。相談は、法務局職員または人権擁護委員がお受けします。秘密は厳守しますとしています。

    また、法務局・地方法務局およびその支局では、窓口において、面接による相談も受け付けています。男性のストーカー被害者の方が相談してみてもいいかもしれません

    参考リンク:「常設相談所(法務局・地方法務局・支局内)」(法務省)

    ② 女性の人権ホットライン
    「女性の人権ホットライン」は、配偶者やパートナーからの暴力、職場等におけるセクシュアルハラスメント、ストーカー行為といった女性をめぐるさまざまな人権問題についての相談を受け付ける専用相談電話です。

    参考リンク:「女性の人権ホットライン」(法務省)

    電話は、最寄りの法務局・地方法務局につながり、相談は、女性の人権問題に詳しい法務局職員または人権擁護委員がお受けします。相談は無料、秘密は厳守しますとしています。

    ③ 配偶者暴力相談支援センター
    別居した夫婦の配偶者がストーカー化してしまうことも考えられます。配偶者暴力相談支援センターでは、配偶者からの暴力の防止および被害者の保護を図るため、相談や相談機関の紹介、カウンセリング、被害者および同伴者の緊急時における安全の確保および一時保護、自立して生活することを促進するための情報提供その他の援助、被害者を保護するための施設の利用方法などの情報提供、その他の援助および保護命令制度の利用についての情報提供その他の援助等をするとしています。

    参考リンク:「配偶者暴力相談支援センター」(内閣府男女共同参画局)

3、ストーカー被害を受けたとお思いになった際にご相談いただけたら弁護士にできること

国に相談できる主な窓口は以上となります。それでは、ストーカー被害にあったときに弁護士にご相談されることで、どのようなサポートを受けられるのでしょうか。

  1. (1)被害者の代理人となり、警察等や加害者本人とやりとりを行う

    弁護士が、被害者の方の代理人となって活動することはもちろん可能なことですし、弁護士に依頼する被害者の方は実際にいらっしゃいます。

    まず、警察をはじめとする公的機関とのやりとりについてですが、公務員は法律に従い、活動をする義務があるため、被害者の方から事実関係を正確に把握するように、そして、問題の行為が「ストーカー行為」にあたるのかという観点で、事実を聴取します。

    弁護士は法律の専門家なので、当然、警察等の問題意識等も把握することができ、要点をついた回答を被害者の方ができるようにサポートすることができます。また、刑事告訴を希望される場合も、法的文書である告訴状を作成し、捜査機関に捜査を求めることも可能です。

    加害者本人とのやりとりですが、まずは、ストーカー行為を止めるように、加害者に法的文書を送付することができます。この文書自体は警告程度のものですが、これに加害者が従わない場合は、前述した捜査機関への働きかけの活動、ストーカー被害により被った損害について損害賠償請求を加害者にすることができます。加害者が示談を求めた場合に、示談交渉することも当然可能です

  2. (2)加害者が不明なとき特定までのサポートを行う

    たとえば、無言電話が毎日かかってくる場合に、そのかかってきた番号や、番号が表示されない場合は、かかってきた日時を正確に記録しておくと、弁護士が電話会社に対する弁護士会照会を通じて、発信元情報の開示を請求できる可能性があります。

    インターネットを通じて名誉を傷つける投稿等がなされた場合も、発信者情報開示請求を通じて、加害者の情報を割り出せる可能性があります。

4、まとめ

ストーカー被害にあわれている場合、特に緊急時はまず警察へ相談しましょう。その他、国が運営している公共機関にご相談されることもおすすめできます。また、弁護士に相談されてみても、問題がよりよく解決できる可能性が上がります。警察等に相談された後、納得いかない場合に、弁護士に相談されてみてもよいでしょう。

ベリーベスト法律事務所 大宮オフィスでは、ストーカー被害対応の知見が豊富な弁護士がスタッフと一丸になって被害にあってしまったあなたを全力でサポートします。お気軽にご相談いただけると幸いです。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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