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フリマアプリで薬や化粧品を転売してもいい? 法規制の内容と罰則

2022年11月07日
  • その他
  • 転売
フリマアプリで薬や化粧品を転売してもいい? 法規制の内容と罰則

余った処方薬などの医薬品や、マスク、消毒液、化粧品をメルカリやヤフオク! などのフリマアプリを使って転売したいと考える方もいるかもしれません。しかし、令和2年8月には消毒液を高額転売した男が埼玉県警に書類送検され、さらに令和4年8月には化粧品の製造番号を消して転売した女が千葉県警に書類送検されたという報道がされています。

化粧品などはよく転売されているアイテムのひとつですが、なぜ書類送検されたのでしょうか。本コラムでは大宮オフィスの弁護士が、フリマアプリでの医薬品などの転売について解説します。

1、薬の転売は違法?

まずは、薬の転売の法律による規制と罰則を確認しておきましょう。

  1. (1)薬の転売を規制する法律と罰則

    薬の転売を規制しているのは、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」です。かつては薬事法と呼ばれていた法律で、現在は「薬機法(やっきほう)」、もしくは「医薬品医療機器法」と呼ばれています。

    薬機法は、その正式名称のとおり、医薬品や医療機器などの品質や有効性、安全性を保つために必要な事項が定められている法律です。薬機法上では医薬品や医療機器に該当する物の販売についても規定されています。

    医薬品の販売業の許可を受けていない一般の方がフリマアプリ等で医薬品を販売した場合、薬機法24条1項に違反する可能性があります。この場合、3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金に処せられまたはこれを併科される可能性があります(薬機法第84条9号)。
    コンタクトレンズなどの高度管理医療機器の販売についても、同様の規制がなされています(薬機法39条1項、84条12号)。

  2. (2)フリマアプリによる規制

    前述のとおり、許可を持たない人が医薬品などを販売することはそもそも法律上で禁じられています。その上で、フリマアプリ自体でも自主的に規制を行っています。

    たとえば、国内フリマアプリ最大手のメルカリでは、以下の物品の販売を規制しています。

    • 医薬品
    • 販売に法律上の許可または届出を要する医療機器
    • 医薬品に該当する成分が含まれている製品
    • 動物用医薬品
    • 許可なく製造、小分けされた医薬部外品
    • 薬効表現、標榜が薬機法に抵触するもの
    • 薬の空シートや空ボトルなど
    • その他、事務局が不適切と判断したもの


    医薬品、医療機器 - メルカリ スマホでかんたん フリマアプリより引用)

    このほか、「許可なく製造した化粧品類や小分けした化粧品類」、「法令に抵触するサプリメント類」、「規制薬物・危険ドラッグ類」、「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響に伴い、関連する一部の商品」なども規制の対象です。これらの物品の販売が運営側に発見された場合は、取引キャンセル、商品の削除がなされるだけでなく利用制限が課されることもあります。

2、医薬品販売業の許可なく薬の販売はしてはならない

医薬品販売業の許可なく医薬品を業として販売することはできません。ではどのような薬が医薬品に該当するのでしょうか。条文や具体例を確認します。

  1. (1)薬機法における医薬品の定義とは

    薬機法第2条1項では、医薬品を以下のように定義しています。

    • 日本薬局方に収められている物
    • 人、または動物の疾病の診断、治療または予防に使用されることが目的とされている物であって機械器具等(機械器具、歯科材料、医療用品および衛生用品など)でない物(医薬部外品などを除く)
    • 人、または動物の身体の構造や機能に影響を及ぼすことが目的とされている物であって、機械器具でない物(医薬部外品などを除く)



    なお、「日本薬局方」とは、薬機法41条の規定により厚生大臣が所定の手続きを経た上で定めた医薬品の規格基準書を指します。

  2. (2)薬機法で販売が禁じられている製品の具体例

    薬機法では以下の商品については、一般の方の売買を禁止しています。

    • 医療機関で処方された医薬品
    • ドラッグストアで販売されている医薬品
    • 中古の医療機器
    • コンタクトレンズ
    • 個人輸入した医薬品、医療機器


    たとえば、新型コロナウイルスへの効果に関する大阪府知事の発言で注目を集めた、ポビドンヨードを含むうがい薬は医薬品に該当します。したがって、フリマアプリで転売をすれば薬機法違反として取り締まりを受ける可能性があるでしょう。

    また、病院で処方されて手元に残った処方薬の転売も違法です。医薬品の中でも、向精神薬を転売した場合は、麻薬及び向精神薬取締法に抵触するおそれがあります。向精神薬をみだりに営利目的で譲渡した場合の罰則は、5年以下の懲役または情状により100万円以下の罰金または併科です(麻薬及び向精神薬取締法 第66条の4第2項)。

  3. (3)医薬品かどうかを確認する方法

    手元にある市販薬が医薬品かどうかを確認する簡単な方法は、製品表示や外箱を確認することです。

    以下の表示がある薬は、医薬品ですのでフリマアプリ等での転売、出品はできません。

    • 要指導医薬品
    • 第一種医薬品
    • 第二種医薬品
    • 第三種医薬品
    • 体外診断用医薬品


    また、なんの表示もない製品にも注意しなければなりません。製造許可を得ずに販売された医薬品や化粧品を販売することは、薬機法で禁じられています。購入先がわからない物、表示がない物の販売は避けたほうがよいでしょう。

3、出品・転売できる物の種類は?

薬機法や麻薬及び向精神薬取締法に違反せずに、フリマアプリ等に出品・転売できる、物の具体例と出品する際の注意点を解説します。

  1. (1)出品・転売可能な物の種類

    医薬品などの販売許可を得てない方でも販売可能な商品は以下のとおりです。

    • 国内製の医薬部外品
    • 国内製の化粧品


    医薬部外品とは、人体に対する作用が緩和なものであって、あせもやただれの防止、口臭・体臭の防止、育毛、除毛などの目的に使用される物などのことを指します。医薬品はドラッグストアや薬局などで購入できますが、医薬部外品はスーパー等でも購入可能です。

  2. (2)出品する際の注意点

    国内製の医薬部外品や化粧品であっても、以下の2点に注意をしなければ薬機法に違反するおそれがあります。

    ●虚偽広告、虚偽記載
    販売の際にその製品に備わっていない効果を記載することも薬機法で禁じられています(薬機法66条1項)。

    たとえば、美白化粧水を転売する際に、「シミが消えます」と書いたり、まつげ美容液を転売する際に、「まつげが長くなります」と書いたりするような行為です。

    ●法定表示がない場合での販売
    医薬部外品や化粧品には、薬機法で記載すべき項目が規定されています。これを法定表示と言います。法定表示がない状態で医薬部外品や化粧品を販売することも薬機法違反です(薬機法59条、61条)。

    たとえば、医薬部外品や化粧水の製造番号を消して転売する行為は違法と判断される可能性が高くなります。

4、知らずに医薬品を販売してしまった場合の対処法

医薬品に該当する薬であることを知らずに販売してしまった場合でも、薬機法違反によって取り締まられるおそれがあります。厚生労働省では、薬機法に違反しているサイトの情報を収集しています。誰でも通報できるようにしてあるため、第三者に通報によって違法な転売が発覚するリスクは大いにあるのです。

まだ医薬品が売れていない状態であればすみやかに、商品を取り下げましょう。すでに売れてしまった場合は、今後警察等からの連絡が入る可能性があります。令和元年10月には、高級シャンプーの製造番号を削って転売をしたとして男性らが逮捕されたという報道がありました。シャンプー自体の転売は違法ではありませんが、製造番号を削って転売したことで薬機法の不正表示に該当するとの判断での逮捕です。

逮捕をされてしまうと、一定期間身柄が拘束されてしまい日常生活に大きな支障をきたす可能性があります。身柄拘束中は通勤や通学ができませんので、何らかの罪を犯した疑いで逮捕されたことが周囲に知られてしまうおそれがあるでしょう。また、逮捕の事実が報道されてしまうと、将来にわたって甚大な悪影響を及ぼすことになりかねません。

薬機法に違反をして転売をしてしまった方は、このような逮捕や報道といった事態を避けるために、まずは弁護士にご相談ください。弁護士に相談をすることで、逮捕を回避して在宅事件として捜査が進められる可能性があります。また、万が一逮捕された場合も、弁護士に依頼をしておけば、逮捕後すぐに接見が可能です。弁護士は、取り調べ中の注意点や、不利な立場に陥らないための対処法をアドバイスします。

弁護士であれば、販売した商品が薬機法上の医薬品に該当するかどうか、またその行為が違法となるかどうかも適切に判断できますので、ご自身で判断がつかない場合もお気軽にご相談ください。

5、まとめ

無許可での医薬品の転売・販売は、薬機法で禁止されており違反をすると処罰を受けるおそれがあります。国内製の医薬部外品や化粧品であれば販売・転売は可能ですが、販売の際の宣伝文の記載方法などによっては薬機法違反になり得ます。

知らずに医薬品を転売してしまった、医薬部外品ではあった物の宣伝文が薬機法違反に該当する可能性があるという方は、ひとりで悩まずに弁護士にご相談ください。弁護士は、薬機法違反に該当するかどうかを判断した上で、適切な対処法をアドバイスします。ベリーベスト法律事務所 大宮オフィスでも薬機法違反に関するご相談を受け付けていますので、お気軽にお問い合わせください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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