自爆営業を拒みたい! 頼れる相談先を大宮オフィスの弁護士が紹介
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令和2年4月、さいたま市内で勤務していた男性が自爆営業などを伴う業務によるストレスによってうつ病を発症した結果、平成22年に自殺に至ったとして、埼玉労働局の労災保険審査官が労災認定したという報道がありました。
自爆営業とは、過剰なノルマを課したうえでノルマを達成できない商品を従業員に買い込ませる行為を指します。もし、あなたが自爆営業を迫られてしまった場合、どこに相談し、どんな準備をする必要があるのでしょうか。本コラムでは、大宮オフィスの弁護士が、自爆営業を解決するために必要なポイントを紹介します。
1、自爆営業は違法行為
会社において「ノルマは買い取ってでも達成しろ」「これだけしか売れてないなんて申し訳ないと思わないのか」など、従業員に対し、強権的に自社商品の自腹購入を迫ることがあります。これが自爆営業と呼ばれる行為です。
しかし、会社側が従業員に対して商品の購入を強要することは、違法な行為なのです。
労働基準法第24条は給与全額払いの原則を定めています。給与全額支払いの原則とは、その言葉通り、賃金を支払日にすべて支払うという決まりです。会社への借金を給与から天引きする、ということも許されません。
ノルマ未達を理由に給与からノルマ分を天引きすることはもちろん、自爆営業の強制は、実質的にノルマ未達成の分の給与を天引きすることと同義ですから、違法である可能性が高いと言えます。
なお、仮に、自爆営業による従業員からの商品代金支払いを、雇用契約から離れた売買契約として考えるとしても、脅迫や公序良俗違反により違法である、と評価される可能性があるでしょう。
2、自爆営業を強要されたときの相談先
信頼できる上司や人事、社内の相談窓口などが考えられますが、自爆営業を迫る会社内での相談には不安を感じる方も多いと思います。そこで、以下のような機関へ相談することをおすすめします。
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(1)労働基準監督署
労働基準監督署は、会社が労働基準法を守っているかを調査し、違反している会社の指導を行う機関です。
労働基準監督署に相談した場合、必要に応じて労働基準監督官が調査に赴き、場合によっては是正勧告(業務改善を求める命令)を出します。あまりに悪質である場合は、事業者が逮捕されることもあります。
労働基準監督署は無料で相談可能という点、会社全体の問題解決に役立つという点がメリットです。しかし、個人のために動いてくれるわけではありませんし、是正勧告には法的拘束力がない点に注意が必要です。また、相談してから是正命令などが出るまでに数か月かかる場合もあります。 -
(2)労働組合
仮に、企業別の労働組合がない会社であれば、企業を超えて加入できる「ユニオン」と呼ばれる労働組合に相談することもひとつの方法です。
これらの団体は、あなたの相談をもとに会社に是正を求めて話し合ってくれる可能性があります。ただし、天引きされた分を取り返したいなど、個人が抱える問題を解決したいのであれば、弁護士に依頼して、柔軟な交渉を求めていく方がよいでしょう。 -
(3)弁護士
自爆営業で天引きされたお金を取り戻したい、迅速に行動したいとお考えであれば、ベリーベスト法律事務所をはじめとする弁護士事務所へご相談ください。
弁護士は労働者の身に起こっている問題を分析し、どのような請求が可能なのかを判断し、解決にあたってのポイントなどについてわかりやすくアドバイスします。
依頼を受けた弁護士は、会社側との話し合いはもちろん、場合によっては訴訟まで対応することもできます。弁護士が対応することによって、会社も危機感を持ちスピーディーな対応を行うなど、問題解決に資することも多いでしょう。
3、相談するときに準備したほうがよいもの
弁護士へ相談できる時間は決まっています。限られた時間を有意義に使うために、次のような準備をしておくとよいでしょう。
①自爆営業の証拠を持参する
自爆営業の違法性を問題にする場合、「合意なく(強制的に)、自爆営業をさせられた」という証拠が必要です。
たとえば、自分が商品等を購入したことの証拠として、明細や商品購入の領収書、注文資料などを忘れずに用意しておきましょう。
また、合意がないことの証拠も必要です。メールで指示を受けているかもしれませんし、会議で自爆営業を指示する記録が残っているかもしれません。口頭で述べられているのであれば、ボイスレコーダーを使うと効果的です。
②時系列がわかるもの
いつ、何が起こったのか、メモ書きでもよいので可能な限り具体的にまとめておきましょう。記憶よりも記録であることが望ましいです。弁護士や労働基準監督署が理解しやすいよう、事案の内容を勝手に取捨選択しないことも重要です。
③その他
もし、自爆営業以外にもお困りのことがあれば、まとめての解決が可能かもしれません。残業代の未払い、不当解雇、在職強要など、気になる問題がございましたら、お気軽にお申し出ください。
4、自爆営業を弁護士に相談した場合の流れは?
自爆営業の問題を弁護士に相談した場合、解決までどのようなサポートを行うのかについて紹介します。
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(1)会社側と話し合い
弁護士に相談したからといってすぐに裁判を起こすわけではありません。まずは自爆営業で払ったお金を取り戻すために、会社側と交渉を行います。証拠が足りないときは、資料の開示を求めますし、会社が証拠を隠滅する恐れが高い場合には、裁判所を通じて証拠保全手続きを申し立てることもあります。
労働審判や訴訟になると、会社は、時間も人手も割いて対応しなくてはなりません。場合によっては、会社名が報道されてしまうこともありうるでしょう。そのため、会社も早期解決を求めることが多くなります。この段階で和解が成立するケースも少なくありません。
交渉で無事に解決に至れば、和解契約書を交わすことになります。 -
(2)労働審判
会社側が話し合いに応じないときや、話し合いでの解決が難しそうなときは、地方裁判所に労働審判手続を申し立てます。労働審判はおおむね1か月に1回、合計3回までという限られた回数の審理を通じて、問題の解決を目指します。審判が下る前に双方が和解するか、最終的に下った審判を双方が受け入れれば解決です。
回数が限られている分、訴訟に比べて迅速な解決が期待できるメリットがある一方、審判の結果に異議を申し立て訴訟に移行できてしまうデメリットもあります。 -
(3)訴訟
審判でも解決できないときは、訴訟を行うことになります。第一審から最高裁まで、多い場合には3つの裁判所で審理することになりますので、結論が出るまで年単位の時間を費やすケースもあります。このように、訴訟は、時間も費用もかかります。着手するのであれば、よく弁護士と相談してからにしましょう。
裁判で判決が確定すれば、その結果を覆すことはできません。
5、まとめ
会社が組織ぐるみで行っていることを、従業員個人が会社に相談して解決できるケースは非常に少ないといえるのが現状です。しかし、自爆営業を強いる行為は違法です。自爆営業について悩んでいる方は、まずは弁護士に相談しましょう。
ベリーベスト法律事務所 大宮オフィスでは、労働問題の知見が豊富な弁護士があなたにとっての最善を一緒に考え、サポートします。自分が置かれている状況が違法なのかわからない、相談料も不安という方も、お気軽にご連絡ください。
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