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一般的な相続で行われる遺産分割と遺贈は大きく違う! 遺言の重要性

2021年07月27日
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一般的な相続で行われる遺産分割と遺贈は大きく違う! 遺言の重要性

令和2年度版「さいたま市保健統計」によると、さいたま市では令和元年度に11203人もの方が亡くなっています。相続の発生は被相続人が亡くなった時点で開始するため、さいたま市内だけでも多くの相続が発生したことになります。

相続は、複雑な手続きを伴う上、その手続きには多数の専門的な用語が出てきます。そのなかでも、「相続」と「遺贈」はもっとも混同されやすい事項のひとつでしょう。そこで本コラムでは、相続と遺贈の違いから遺贈の種類、さらに遺言の重要性についてベリーベスト法律事務所 大宮オフィスの弁護士が解説します。

1、相続の基本を確認しよう

  1. (1)相続とは?

    民法では、相続について以下のように規定しています。

    • 相続は、被相続人(死亡した人)の死亡と同時に開始すること(民法882条)。
    • 相続人は、被相続人の財産に属した権利義務のすべてを、相続開始時点で相続すること(ただし、被相続人の一身に専属したものを除く。民法896条)。

    つまり、ある人が死亡した際、生前その人が所有していた財産などを、一定の範囲の親族(相続人)に承継させることを「相続」といいます。

  2. (2)法定相続と指定相続

    相続には、「法定相続」と「指定相続」があります。

    民法第887条、889条、890条では、「法定相続人」として被相続人の相続人になることができる人の範囲を定めています。法定相続人は、被相続人の配偶者や直系血族が該当します。そして法定相続人は、被相続人との続柄によって優先順位はありますが、当然に被相続人の相続人となって財産を承継することが認められています。これが法定相続です。

    一方で、民法は、遺言を作成することによって、被相続人が自由に相続人や相続割合などを定めることも認めています。これが指定相続です。

  3. (3)相続財産の分割

    相続財産は、広く「遺産」ともよばれています。この遺産には、預貯金や不動産などプラスの資産(積極財産)のほか、借金などマイナスの資産(消極財産)が含まれます。
    相続人が複数いる場合、誰が・どの相続財産を・どのくらい相続するのかについて決めることができます。決める方法としては、被相続人の遺言による指定(指定分割)のほか、遺産分割協議という共同相続人全員による話し合い(協議分割)などがあります。これにより、いわゆる法定相続割合と異なる分割割合を定めることも可能です。
    なお、被相続人の資格や社会的地位など、その一身に専属していると考えられるものは相続財産とされず、相続人に承継されることはありません。

2、遺贈と相続の違い

  1. (1)そもそも遺贈とは?

    遺贈とは被相続人が生前に遺言を作成しておくことで、その内容にもとづき死後の財産の処分を可能とする制度です。

    すべての人は、自由に自己の財産を処分することが認められています。その延長として、死後の遺産の行方についても遺言を書くことで決めさせてあげましょうという考え方からこのような制度が認められているのです。

    遺贈により財産を渡す人を「遺贈者」、財産を受け取る人を「受遺者」といい、遺贈者が死亡することで法的な効力が生じます。なお、民法第986条では遺贈者が死亡したあとに受遺者が遺贈を放棄することが認められています。

  2. (2)指定相続における相続と遺贈の違い

    指定相続においては、「相続」と「遺贈」の2つを混同してしまってるケースがあるようです。

    指定相続における本質的な意味だけみれば、2つとも「被相続人が遺言によって財産を引き継がせる」という点ではほぼ同じです。しかし、この2つは、

    • 「相続」が法定相続人に対して用いる文言
    • 「遺贈」が法定相続人または法定相続人以外の者に対して用いる文言

    という点で異なります。

    したがって、法定相続人については「○○に✕✕を相続させる」、法定相続人以外の第三者については「△△に☐☐を遺贈する」と記載することが適切です。

  3. (3)「遺贈する」のデメリット

    不動産の相続においては、遺言書の記載が「相続させる」であるか、あるいは「遺贈する」なのかという点で、その後の相続登記などにおいて必要な手続きが異なります。

    不動産の相続登記を例にして考えてみましょう。「(法定相続人である)Aに相続させる」と記載された遺言であれば、法定相続人Aが被相続人の権利義務を承継することになります。この場合、当該法定相続人Aが、不動産の登記権利者と登記義務者を兼ねることになりますから、Aは単独で相続登記を行うことができます。

    しかし、「遺贈する」と記載されていた場合、当該不動産を受け取る人が指定されていたとしても、登記義務者は他の法定相続人全員または遺言執行者となります。したがって、「相続させる」と記載された遺言と比べると相続登記手続きは煩雑になります。

    また、借地権を相続する場合、「相続させる」と記載された遺言であれば地主の承諾は不要です。しかし「遺贈する」と記載された遺言では地主の承諾が必要となり、地主との交渉結果次第では借地権を相続できなくなる可能性もあります。

    「遺贈する」という文言は、法定相続人に対しても第三者に対しても使えます。すなわち、法定相続人に対しては「相続させる」「遺贈する」のどちらを書いても遺言としては有効です。ただし、上記のような「遺贈する」のデメリットを考慮すると、法定相続人に対しては確実に「相続させる」という記載にしておくべきでしょう。

3、遺贈にはいくつかのパターンがある

前述のとおり、遺贈は、生前に遺言を作成することにより、亡くなったあとの財産の処分を可能とする制度です。遺贈には、さまざまなパターンがあります。その代表的なものを紹介します。

  1. (1)負担付遺贈

    負担付遺贈とは、財産を受け取る受遺者に対して、一定の義務を負担させる遺贈です。

    たとえば、「Aに土地を遺贈する。その代わり、Bが成年に達するまで毎月○万円を支払わなければならない」といった遺言が、負担付遺贈に該当します。これにより利益を受けるBを「受益者」といいます。負担の内容は、必ずしも金銭的なものであることを要しません。

    課された負担が遺贈による価額より大きい場合、受遺者は、その価額以上の義務を負担する必要はありません(民法第1002条1項)。また、受遺者は遺贈を放棄することもできます。このとき、受益者が当然に受遺者となります(同2項)。さらに、限定承認(プラスの財産の範囲内で負債も相続すること)や遺留分(法定相続人に認められた最低限の取り分)回復の訴えによって遺贈を受ける財産の価額が減少した場合、受遺者はその減少の割合に応じて負担の義務を免れると規定しています(民法第1003条)。

  2. (2)包括遺贈

    包括遺贈は、遺産の全部または一部の割合を示して行う遺贈です。たとえば、遺言書が「私の全財産のうち半分をAに遺贈する」というような内容であれば包括遺贈に該当します。

    包括受遺者の地位は相続人に類似しており、民法第990条においても包括受遺者は相続人と同一の権利義務を有するとされています。したがって、包括受遺者は遺言者の資格や社会的地位など一身に専属した権利義務を除いて、遺言者の財産に属した一切の権利義務を遺贈分の割合に応じて承継します。また、包括遺贈の承認・放棄については相続の承認・放棄の規定がそのまま適用されます。

  3. (3)特定遺贈

    特定遺贈は、遺言者の財産のうち特定の財産、あるいは一定の額の金銭を贈与するなど、特定の具体的な財産的利益の遺贈です。

    遺言書の例文としては、「○○県○○市○○町○○所在の不動産はBに、△△銀行定期預金△△円はCに、△△銀行普通預金☐☐円はDに遺贈する」などが考えられるでしょう。

    なお、相続人でない方が上記のような不動産の特定遺贈を受ける場合、不動産取得税が発生します。相続、包括遺贈、法定相続人に対する特定遺贈であれば、不動産取得税は発生しません。

4、遺言の重要性

このように、法定相続分と異なる相続分で相続させたり、財産を相続人でない方に贈ったりするためには、遺言を書いておく必要があります。

ところが、以下のような理由から生前に遺言を作成しておくことをためらったり、後回しにしたりしてしまう人が多いようです。

  • 家族は仲がいいから、遺産をめぐってトラブルになる心配はない。
  • まだ自分は元気だし、遺言を書くのは早い
  • 遺言を書いておかなければならないほどの財産はない
  • 遺言なんて縁起が悪い

しかし、一寸先のことはわかりませんし、遺産相続という利害関係が生じる場面では、人の心理がどのように変わるか予測することはほぼ不可能です。
仲のよい家族の絆・家族関係の崩壊を防止するための最良の手段が、遺言なのです。だからこそ、あなたに万一のことがあった場合を考慮すれば、遺言を作成することに早すぎることはなく、財産が多い・少ないも関係ありません。ましてや、縁起が悪いなどとは言っていられません。

実際に、日本ではまだ法定相続が圧倒的に多いといわれている一方で、近年は遺言による相続も着実に増えているのです。

5、まとめ

本コラムでは、一般的に行われる遺産分割によると遺贈の違いに重点を置いて解説しました。相続であろうと遺贈であろうと、遺された家族の間でトラブルなく円満に遺産を引き継がせるためには、遺言を作成しておくことが重要です。

しかし、遺言の作成は専門的な知見を要します。特に、相続人の数や遺贈したい相手が多く関係が複雑であり、さらには財産の種類が多いとなると、お一人で進めることが難しいかもしれません。

そのような場合は、ぜひ弁護士にご相談ください。相続についての知見と経験が豊富な弁護士であれば、遺言の作成に限らず相続全般のご相談やご依頼に対応可能です。今後の相続についてお考えになることがあれば、ぜひベリーベスト法律事務所 大宮オフィスまでお気軽にご相談ください。ベリーベスト法律事務所であれば、税理士と連携を行った対応も可能です。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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