みなし相続財産とは? 種類などについて、弁護士がくわしく解説

2020年04月15日
  • 遺産を残す方
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みなし相続財産とは? 種類などについて、弁護士がくわしく解説

被相続人に帰属していた財産(権利義務)を「相続財産」と呼びます。それを相続(被相続人の一切の権利義務を受け継ぐこと。民法896条)した人は、その財産の価格や性質に応じて、相続税を負担することになります。
ところで、実は相続財産以外にも、相続税の対象となり得る財産があることをご存じですか?
本記事では、相続財産でないのに相続税がかかる「みなし相続財産」について、大宮オフィスの弁護士が解説します。

1、みなし相続財産とは?

  1. (1)税法上、「相続財産」と扱うべき財産のこと

    みなし相続財産とは、「相続財産ではないけれども、相続財産と扱うことが相当である財産」のことを指します。
    わかりやすい例では、生命保険や死亡退職金の受け取りなどが挙げられます。これらを権利者が受け取る際、相続税がかかる場合があります。

  2. (2)みなし相続財産は相続人で分け合う?

    贈与や遺贈によって受け取った財産は、特別受益(簡単にいえば、被相続人から相続とは別にもらった財産)とされ、相続できる金額に影響がでることもあります。一方、みなし相続財産は、相続財産そのものではありません。たとえば、被相続人を被保険者とする生命保険金を受け取ったとしても、自分が相続できる金額に影響しない、と考えるのが原則です。ただし、受け取った金額や、相続財産そのものがどれくらいあるかなど、諸事情によって判断も変わります。

  3. (3)みなし相続財産の受取人が相続放棄していたら?

    みなし相続財産は、相続財産ではありません。たとえば、相続人であるAさんがみなし相続財産の受取人で、かつ、相続放棄をしたとしても、みなし相続財産を受け取る権利は残ります。
    税法上の取り扱いは、相続税法に記載されています。相続放棄をした相続人がみなし相続財産を受け取る場合は、遺贈により受け取ったとみなして相続税の課税を行います(相続税法第3条)。相続放棄をしたAさんは、相続人としての非課税枠は使えなくなりますので注意しましょう。

2、みなし相続財産の種類と税金

冒頭で説明した通り、みなし相続財産は「相続財産ではないけれども、相続財産と扱うことが相当である財産」です。どのようなものが挙げられるでしょうか。気になる税金の話とともにご紹介します。

  1. (1)生命保険の死亡保険金

    代表的なものとして、生命保険の死亡保険金が挙げられます。
    ただし生命保険金には非課税枠があり、「法定相続人の数×500万円」までは非課税とされています。生命保険金から非課税額を差し引いた金額に、相続税が発生することになるのです。
    相続放棄をした相続人がいる場合、その相続人を「法定相続人の数」に含んで計算することができます。しかし、放棄した相続人自身は、この非課税枠の適用を受けることはできません。

  2. (2)死亡退職金

    次に、死亡退職金が挙げられます。
    本来被相続人に対して支給されるはずだった退職金などが該当し、死亡後3年以内に支給が確定した金額には相続税が発生します。こちらも「法定相続人の数×500万円」分の非課税枠があります。
    死亡退職金の受取人が定められていない、もしくは複数人いる場合も、あくまで非課税枠は「法定相続人の数×500万円」で算定します。

  3. (3)生命保険契約に関する権利

    生命保険契約に関する権利も、みなし相続財産として扱われることがあります。
    たとえば、妻が保険契約者かつ被保険者、夫が保険金受取人かつ保険料の負担をしていたとします。この場合に夫が亡くなると、夫の死亡によって妻に財産が移転したと考え、みなし相続財産と扱われます。

  4. (4)その他の定期金

    年金保険のような定期給付金も、みなし相続財産として扱われることがあります。
    保険会社に問い合わせて、相続税評価額を確認してください。

3、相続に関する手続きを弁護士に依頼すべき理由

●相続財産を把握できる
相続財産は、不動産などの目に見えるわかりやすいものだけではありません。
預金や、取引履歴からわかる権利義務関係まで、丁寧に確認していく必要があります。
弁護士へ依頼することで、相続財産を把握するまでの手間を取り除くことができます。

●みなし相続財産を見落とさない
ここまでご紹介したみなし相続財産は、あくまで一般的なものです。実際にはケースにより複雑になるため、知識がなければみなし相続財産を見落としてしまう可能性もあります。弁護士に依頼していれば、そのような見落としを防ぐことができます。

●税金に関する対策ができる
相続税に関する手続きは、できるならば1回で済ませたいものです。
そのためには、相続の手続きを丁寧に進め、正しく財産を評価し、非課税枠を適用していかなければなりません。しかし、財産が多ければ多いほど、それに費やす時間は膨大になっていきますし、作業も煩雑になります。
修正申告を求められてしまい、追徴税を支払わなければならなくなった……という事態を回避するためにも、手続きをよく知る経験豊富な弁護士に依頼することをおすすめします。

●遺産分割協議の円滑化
相続税は、全体の相続財産をもとに導き出され、それを実際の相続分に合わせて案分します。相続争いなどで遺産分割協議が遅れると、相続税申告も必然的に遅れてしまいます。相続税の申告は期限が厳格に定められていますから、遺産分割協議でもめることが予想されるのであれば、あらかじめ弁護士に任せておくことをおすすめします。

4、まとめ

相続は、被相続人が亡くなったときに開始します(民法882条)。親族が亡くなったと知った直後から、相続や相続税の対応に追われることは、身体的にも精神的にも大きな負担になるでしょう。もし、相続に関する対応でお困りでしたら、ベリーベスト法律事務所 大宮オフィスまでお気軽にご相談ください。経験豊富な弁護士があなたをサポートします。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています