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株主代表訴訟とは? 概要から事例について弁護士が解説します

2021年03月25日
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株主代表訴訟とは? 概要から事例について弁護士が解説します

大企業の役員が不祥事を起こし、株主が株主代表訴訟を提起したという報道を聞いたことはあるでしょうか。

株主代表訴訟会社は、あくまで大企業での出来事だと思われている方もいるかもしれません。しかし、中小企業の役員であっても、企業に損害を与えた場合、株主から株主代表訴訟を提起されるリスクがあります。そのため、さいたま市近郊で事業を営む中小企業の役員の皆さまにおかれましても、株主代表訴訟について理解しておく必要があります。

本コラムでは、株主代表訴訟ついて、ベリーベスト法律事務所 大宮オフィスの弁護士が解説します。

1、株主代表訴訟制度の概要

  1. (1)株主代表訴訟とは

    株主代表訴訟とは、個々の株主が、自ら、会社のために、役員の会社に対する責任を追及する訴訟です。すなわち、株主が役員に対して有している債権を行使するのではなく、会社が役員に対して有している債権(損害賠償請求権等)を、株主が会社に代わって行使する訴訟とであるといえます。

  2. (2)なぜこのような制度が規定されているのか

    会社が役員に対して債権を有していることから、本来は会社自身が役員に対して責任を追及するべきです。しかし、役員間の仲間意識などから、会社が役員に対して責任追及することを怠ることが想定されます。
    このようなことから、会社が積極的に取締役の責任を追及することが期待できない場合もあり、その結果、会社や株主の利益が害されるおそれがありえます。そのため、会社や株主の利益の回復・確保を図るために、株主が、実質上会社の代表的地位に立って、責任追及する訴訟が認められているということを知っておきましょう。

  3. (3)株主代表訴訟を提起する手順

    株主代表訴訟を提起するにあたっては、まず、株主は、役員に対する責任追及等の訴えを提起するよう会社に請求しなければなりません(会社法847条1項ないし3項)。この請求により、権利主体である会社には、訴訟を提起するか否かの判断の機会が与えられることになります。そして、上記請求の日から60日以内に会社が役員に対して訴えを提起しない場合に、株主は株主代表訴訟を提起できることになります。

    このように、会社は、株主から、役員に対する責任追及等の訴えの提起をするよう請求された場合、60日以内に、訴えを提起するか否かを判断しなければなりません。なお、期間内に訴えを提起しない場合に、提訴請求をした株主から請求を受けたときは、訴えを提起しない理由を当該株主に通知しなければなりません(会社法847条4項)。

2、株主代表訴訟の対象

  1. (1)会社の役員に対する任務懈怠に基づく損害賠償請求権と事例

    まず、株主代表訴訟の対象としては、会社の役員に対する任務懈怠に基づく損害賠償請求権(会社法423条)が挙げられます。この損害賠償請求権は、役員が任務(善管注意義務・忠実義務等)を怠り、その結果、会社に損害が発生した場合に発生します。

    そして、すべての法令を遵守して職務を執行する義務が取締役に課されています(会社法355条)。取締役の任務には、法令を遵守して職務を行うことも含まれているため、法令に違反する行為(会社に法令違反をさせるような業務執行)をした場合には、任務を怠ったことになると考えられています。

    具体的には、以下のような事例で、任務を怠ったと判断される場合があります。

    • 取締役が、多額の投資をしたが失敗した場合(経営判断の失敗)
    • 取締役が、会社と同じ事業を同一地域で行った場合(競業避止義務違反)
    • 取締役が、会社の所有する土地を廉価で購入した場合(利益相反行為)
    • 会社が、取締役の債務を保証する場合(利益相反行為)
  2. (2)会社の役員に対する取引債権

    株主代表訴訟の対象には、上述した任務懈怠に基づく損害賠償債務のほか、役員の会社に対する取引債務も含まれることがあります。この取引債務には、取引が無効である場合の不当利得返還債務、解除された場合の原状回復義務等も含まれることが考えられます。

3、会社・役員側がとるべき対応

  1. (1)株主代表訴訟が提起される前

    株主代表訴訟に関しては、事前にも事後にもさまざまな対応が求められます。

    ・会社
    会社としては、あらかじめ、役員による不祥事が起きないよう、実行的な施策を検討・策定し、実施しておく必要があります
    また、株主から、役員に対する責任追及等の訴えを提起するよう請求された場合には、事実関係の調査や法的分析を踏まえ、役員に対して訴えを提起するか否かを判断しなければなりません。この判断は、請求の日から60日以内に行う必要があります。その後、提起すると判断した場合には、訴訟の準備が必要となります。

    ・役員
    役員としては、任務懈怠責任が追及されないよう注意して業務を行う必要があります。役員の場合、法令違反や定款違反をした場合に任務懈怠責任を負う場合があるため、法令や定款に違反しないことが重要となります。

  2. (2)株主代表訴訟が提起された場合

    ・会社
    株主代表訴訟が提起された場合、原告は株主、被告は責任追及されている役員となります。
    もっとも、株主代表訴訟の結果は、勝訴・敗訴を問わず会社に及ぶことから、訴訟について会社は重要な利害関係を有しています。そのため、会社は、株主代表訴訟に、共同訴訟参加・補助参加というかたちで関与することができます(会社法849条)。このように、会社も、株主代表訴訟の手続きに関与することができますので、必要に応じて、訴訟手続への関与を検討する必要があります。

    ・提訴された役員
    株主代表訴訟が提訴された場合、役員は多額の損害賠償責任を負う可能性がありますので、しっかりと訴訟に向けた対応をする必要があります。

  3. (3)株主代表訴訟が終わった後

    会社としては、株主代表訴訟の結果にかかわらず、役員による不正行為等の存在やその疑いがあったと認められる場合には、その再発防止策を策定・実施することを検討する必要があります

4、できる限り早期に弁護士に相談を

弁護士に相談しなければならないタイミングは特に決まっていません。
しかし、事前に相談することで企業は損害を被ることを防止できますし、役員も多額の損害賠償義務を負うリスクを減らすことができます
また、訴訟段階になっても自分で判断することは難しいでしょうから、弁護士に相談すべきといえます。

普段から、顧問弁護士を利用し、外部の弁護士と連携しておくということも事前の対策として有効な手段となりますので、顧問弁護士の導入も検討してください

5、まとめ

株主代表訴訟が提起されたときには、訴訟に対する対応以外にも、企業としてはさまざまな対応に追われることになります。企業の信頼を回復するためにも、弁護士と連携しながら適切な対応をすることが必要になるでしょう。

企業法務に関し、弁護士の関与を検討している企業は、ベリーベスト法律事務所 大宮オフィスまでお気軽にご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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